安定的な活性酸素を含んだ水を生成することで植物の発芽率向上を促す/種苗会社との共同実証実験も開始・今秋にも試験販売予定<有限会社K2R>

植物の生育スピードや免疫力を向上させる効果がある活性酸素を安定的に含んだ水を、光触媒反応によって生成する装置を、北九州学術研究都市の環境ベンチャー有限会社 K2Rが国内で初めて開発した。同社によると、この水を植物の種子に与えると、発芽率が約6割向上したという。
 
 
同社はこの装置の特許を日本とドイツで取得。独立行政法人科学技術振興機構(JST)の助成金を得て、米国や中国でも関連技術の特許の取得を目指している。活性酸素は老化の原因物質ともいわれるが、植物に与えると生育を促進する。これまでも生成は可能だったが、一瞬で消える性質があり、水中にとどめて植物に与えることは困難だった
 
 
光触媒反応は、触媒の酸化チタンに光を照射すると、抗菌効果などが生じる現象。同社はこれを応用し、表面を酸化チタンで覆ったアルミニウムの筒に水中で紫外線を当て、さらに超音波振動を加えると、水中に活性酸素が生成され、約30分残存することを発見した。
 
 
昨年のブロッコリーの実験では、通常の水では24時間で50%だった発芽率が、反応水では約80%に上昇し生育速度も約20%上がった。反応水は約30分で普通の水に戻るため環境への負荷はゼロ。装置内を循環させて水を再利用するため、節水効果も見込まれるという。
 
 
同社は4月から九州沖縄農業研究センター(福岡県久留米市)で、反応水を用いた植物工場の実証実験を始めた。来年3月まで、九州大や北九州市立大、種開発大手「中原採種場」などと、広さ約100平方メートルの工場でブロッコリーやソバなど6種類を栽培し、生育データを取る。今秋にも、栽培した野菜を久留米市内で試験的に販売する予定だ。
 
 
北九州市立大の河野智謙准教授(農学)によると、光触媒反応で生成された活性酸素を含む水は、30分たてば通常の水に戻る点が最大のメリット。残留性が問題となる農薬と違い、農業による環境負荷を大幅に軽減することができる。植物の生育スピードや免疫力を高める働きもあり、将来的に化学肥料や農薬の代替物になる可能性も秘めている、とのこと。今後の研究開発・実証実験に期待が持てるだろう<参考:西日本新聞より>
 
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

大和ハウス工業 アグリキューブ 植物工場バナー
次世代農業EXPO 植物工場バナー
昭和電工 植物工場 バナー
植物工場設備販売(人工光型)_バナー

過去のピックアップ記事

  1. オランダによる植物工場野菜やオーガニック食品の輸出が急増
     Bionext organic associationによると、オランダのオーガニック食品の輸出額…
  2. ライアソン大学による都市型・屋上ファームが1周年の収穫祭を開催
     カナダのトロントにあるライアソン大学の屋上ファームでは、1周年の収穫祭と農場ツアーが実施された。同…
  3. 植物工場によるトマト生産の田園倶楽部奥出雲が倒産を申請
     太陽光利用型植物工場にてトマトの生産を行っていた島根県奥出雲町の農業生産法人「田園倶楽部奥出雲」が…
  4. 阪神野菜栽培所の植物工場、新たにケールのベビーリーフ商品を販売
     阪神電気鉄道株式会社では、鉄道高架下(尼崎センタープール前駅)の「阪神野菜栽培所」の植物工場にて、…
  5. NTTファシリティーズ、青森県内初の医療法人・介護系事業所に植物工場を導入
     株式会社NTTファシリティーズは、医療法人蛍慈会・石木医院において青森県で初の医療・介護系事業所へ…
  6. 郵船商事による植物工場が福井に完成、1日1万株の大規模・人工光型施設へ
     郵船商事株式会社は、2014年10月より福井県敦賀市において植物工場建設を進めており、4月10日に…
  7. 農業版シリコンバレー バイエル社が1200万ドルをかけて研究用の大型植物工場を建設
     バイエル社(バイエル・クロップ・サイエンス社)は、新技術の実証ショールームとして大型の太陽光利用型…
  8. ノース・ダコタ州立大学が約40億円にて植物工場・研究施設を完成
     米国のノース・ダコタ州立大学では最新技術を導入した植物工場が完成した。総投資額は3300万ドル(約…
  9. 米国の農畜産ビジネス。全体の70%がICT自動化システムを導入・家族経営でも効率的な大規模生産へ
     テクノロジーが農畜産ビジネスを大きく変えている。センサーやモニタリング装置を導入し、環境制御や効率…
  10. 米国におけるクロマグロの完全養殖 植物工場による環境制御技術の応用可能性も
     野菜の周年栽培を実現する植物工場だが、その環境制御技術は魚の養殖分野にも応用できる可能性がある。米…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. 村上農園、機能性表示の新制度を背景に機能性野菜スプラウトが販売好調
     太陽光利用型植物工場や施設園芸を中心としたスプラウト生産大手の株式会社村上農園が生産販売する2つの…
  2. 自然の木をイメージした垂直農場 植物工場や様々なクリーンテクノロジーを導入
    都市部における過剰な人口増加が引き起こす2つの問題は、限られた土地・空間の中での生産性向上をはかりな…
  3. 福島・南相馬に太陽利用型植物工場が稼働 カゴメの技術指導と全量買取
     福島県・南相馬市の農業法人「南相馬復興アグリ株式会社」は2月9日、太陽利用型植物工場を建設し、トマ…
  4. 台北や韓国などの都市型農業拡大。ソウル市は2年間で約4倍(118ha)の緑化・農地エリア拡大
     台北市では市が中心となって都市型農業や都市エリアの緑化を進めており、市民参加型の貸農園、学校・生徒…
ページ上部へ戻る