震災・原発事故のため電力供給を不安視する施設園芸・植物工場運営企業。建設予定を白紙撤回する企業も多い

震災直後にも、各地の水耕施設やカゴメの植物工場サイゼリアの仙台への直営水耕農場など、いくつかの情報を掲載してきた。今後、電力ピークをむかえる夏場にむけて、植物工場や施設栽培運営企業は、電力供給の制限があるかどうか、大変気になる点であるだろう
 
 
例えば、広島県北杜市内に野菜の大規模生産工場を建設する予定だった「日本農園」は、東日本大震災の影響で電力の安定供給の先行きに不安があることに加え、原発事故のため、計画を白紙撤回している。「現時点で東日本進出はリスクが大きいと判断した」とのこと。同社は、2008年に主力商品「ボストンレタス」を生産する工場の建設用地として、市農業振興公社の8ヘクタールを賃借。2011年秋に本体工事着手や将来に約60人の地元採用を予定していた。同じ生産団地に用地を確保している「村上農園」は、2011年2月に建設工事に着手しており、今秋の出荷を予定している。
 

<日本農園の水耕施設(太陽光利用型)・ボストンレタス(同社WEBサイトより)>

 
その他、SankeiBizの記事によると、震災以降、農林水産省・花卉(かき)産業振興室では、植物工場を運営する会社から問い合わせや相談が相次いだ、という。千葉大の古在(こざい)豊樹名誉教授(生物工学)によると、「人工光の植物工場は1日12〜16時間、夕方から翌朝にかけて照明をつける。照明の時間が多少ずれても問題はないが、この間の光の管理が植物の生育の良しあしを決めるという。24時間以上にわたる停電は植物にダメージを与える。停電は1日に数時間が許容範囲である」と指摘する。
 
 
その他、埼玉県秩父市にある植物工場「野菜工房」は、レタスや水菜など5品目の野菜を生産。100%蛍光灯を使用し、電気代は月平均50万〜60万円かかる。周藤(しゅうどう)一之社長は「原発事故の影響で節電の必要性は認識しているが、(人工光を光源とする)『完全閉鎖型植物工場』では栽培ラインの蛍光灯を消灯することは植物の成長に直接影響を与えてしまう」と話し、自主停電などの措置は取っていない、という。
 
 
また、消費電力の少ないLED電球の導入予定はないが、作業時間の短縮や事務所の明かりを最低限にするなど、栽培ライン以外で節電に努めている。その理由について、周藤社長は「現在のLED技術では十分な植物栽培ができない。規模の小さな実験設備でLED電球を使用することはあっても、商業規模でLED電球を導入して野菜を安定供給するのは難しい」と説明する。
 
 
また、植物工場の空調を止めるなどして節電に努める北海道岩見沢市の「コスモファーム岩見沢」では最近、植物工場の照明すべてをLED電球に切り替えた栽培にかかる電気代はほぼ半減した。しかし、LED電球の特殊な波長ゆえ、リーフレタスなどの野菜に限られているという。その他にも、栽培ではなく、展示目的の植物工場は稼働を一時・停止している企業もあり、電力ピークをむかえる夏場は、施設園芸・植物工場運営企業にとっては、経営的にも非常に難しい選択を迫られる可能性もあるだろう。<参考記事:SankeiBizなど>
 
 

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植物工場・農業ビジネス編集部

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