給湯器などの住宅設備機器メーカーのコロナが宮城県で本格的な農業事業へ参入(耕作放棄地の活用・地元雇用・社会福祉法人とも連携)

ストーブや給湯器といった大手住宅設備機器メーカーの「コロナ」は、宮城県内の大規模な農地でコメや野菜を生産して農業事業に参入する。同社は、2010年4月に農業生産法人コロナアグリを設立しており、宮城県角田市で22ヘクタール余りの田んぼや畑を地元の農家などから借り、コメや大豆などの有機栽培・販売事業に乗り出す。
 
 
同社によると、中核事業であるストーブや給湯器など、住宅設備機器の市場が頭打ちとなるなかで、新たな収益源を育てる狙いがある、という。今回の計画では、農業の経験者や就農を希望する若者を採用する方針であり、地元にとっては、雇用の拡大や耕作放棄地の活用などの効果が期待される。また、宮城県角田市を選択した理由として、大規模な農地を確保できるだけでなく、新潟県に比べて降雪が少なく通年で農産物を栽培できる点などを考慮した、という。
 
 
農業生産法人コロナアグリは資本金200万円で、2010年4月に設立。2009年からグループ会社である(株)栃尾コロナでは、三条市と特定法人貸付事業制度による借地契約を締結し、下田地区の2.9ヘクタールの農地に食用米やそばを植え、農薬や化学肥料を使わずに栽培を実施した。社員の健康増進をと生産性向上を目的に、社員食堂で利用し、社員からは好評を得ており、こうした農業事業を引き継ぎ、一般市場への販売も視野に入れ事業拡大に取り組むために農業生産法人コロナアグリを設立した。以下、関連するプレスリリースを掲載しておく。
 
 

株式会社コロナアグリが宮城県内で農業事業を開始
株式会社コロナ(本社:新潟県三条市 社長:内田 力)が出資する農業生産法人株式会社コロナアグリ(本社:新潟県三条市 社長:内田 力)は、本年4月1日付で宮城県角田市内に宮城事業所を開設し、同地域での農業事業を開始します。
 
同社は角田市東部に位置する尾山地区に事業所や倉庫、作業場などの設備を建設するための土地(約5,000平方メートル)を購入するほか、耕作圃場として角田市内の圃場を借り入れて、米、大豆、野菜等を主に微生物による「土づくり」を基本とした有機栽培によって生産します。耕作規模は約22ha(水稲約10ha、大豆等穀物約7ha、畑約5ha)となる予定です。
 
同事業所の従業員は地元から熟練農業者2名と若手就農希望者4名を新規に採用し、本社から派遣する役員1名を合わせた7名でスタートするほか、農繁期には地元から農業経験者等をパートタイマー等として採用します。今後は圃場規模の拡大に応じて若手就農希望者を採用し、農業技術の伝承と農薬や化学肥料をなるべく使わずに収量を上げる新しい技術の開発を進めて行きたいと考えています。
 
生産した農作物はコロナグループの従業員やその家族向けに販売するとともに、地元農家と協力し一般市場への販売も行います。また、宮城県角田市で買物難民支援事業を進める社会福祉法人臥牛三敬会(がぎゅうさんけいかい)への食材提供を行うほか、同法人からの協力により、障がいをお持ちの方々から軽作業を行っていただく予定です。
 
同社は、大規模な圃場を確保できる点や年間を通して農作物を生産できる天候のほか、自治体など地域からの協力を得られた点などを考慮し、同地域で事業を開始することとしました。これにより、同社は地域の特性を生かした共存共栄の農業事業を進め、自治体と一体になって地域活性化に取り組んで行きたいと考えています。