信州せいしゅん村、園芸治療「農村セラピー」サービスを開始。 農業による癒され感を数値化

 農村体験ツアーを受け入れている長野県・上田市の農業生産法人「信州せいしゅん村」は、農商工連携促進事業法の認定支援事業のひとつとして、「県農村セラピー協会(仮称)」を設立し、農村セラピーにも力を入れていく、という。同社は2000年に設立。2002年に川遊びや農作業などをする日帰り農村体験事業「ほっとステイ」を開始している。

今回の農村セラピー事業では、人間の感性の計測を専門とする信大繊維学部感性工学課程の上条正義教授の協力を得て、日帰りツアー参加者に対して、アンケートによる癒やされ感の数値化を研究してきた。

2008年から約3年間で、ほっとステイ参加者500人余にアンケートを実施。「自然に接して心が洗われる感じがする」「気持ちのいい汗をかいていると思う」など40余の設問に体験前と後に答えてもらい、それぞれ癒やされ感を100点満点で数値化した。

信州せいしゅん村、園芸治療「農村セラピー」サービスを開始。 農業による癒され感を数値化
 近年では園芸療法サービスを行う企業や団体も増えてきた。園芸治療とは、野菜や草花、樹木を育てることを通じて心身を癒やす療法。

病気治療のほか障害者や高齢者などのリハビリにも用いられており、第2次世界大戦ごろに心の傷を負った人のリハビリとして欧米で始まった取り組みが起源という。日本に本格的に紹介されたのは1990年代で、1995年の阪神大震災後のメンタル面のケアが脚光を浴びたことも認知のキッカケとなっている。

認知症の治療の一環として、末期がん患者に対しての緩和ケアのためにハーブ(カモミール等)を利用するケースなど、園芸治療を採用する病院も増えており、医学的根拠を研究するために、東京農業大学は2006年に「バイオセラピー学科」を開設している。農業には様々な効果・ビジネスの可能性を秘めている、といえる。