モスフードサービス、生産者と共同で農業生産法人を運営(安定供給ルートの確保)

(株)モスフードサービスは、有機農産物販売の野菜くらぶ(農業生産法人)と共同で2006年2月に農業生産法人サングレイスを設立。サングレイスでは、静岡(昭和村と菊川市)と群馬の計3カ所に農場を持ち、モスバーガー向けのトマトを栽培している。
 
 
昭和村のハウス農場にはコンピューターによる栽培管理システムを導入することで、トマトを植えるプランターに自動的に水分や肥料を補給でき、形状や糖度を調節することで安定供給を続けている。サングレイスにはモスフードサービスが61%を出資し、野菜くらぶと所属農家も株主となっている。栽培など農業法人の経営は、野菜くらぶと所属農家が行っており、総事業費は6億5000万円(うち3億円は農水省から国庫補助を受けている)。
 
 
計画では年間600トンの収穫量があり、うち180トンを首都圏の600店を中心に使用し、残りは一般に販売する。この供給量は全店舗で使用するトマトの7%程度だが、安定的な調達ルートを自社で確保することで、4年間で6000万円のコスト削減効果があるという(アグリ事業グループリーダー:伊東清 氏の話による)。
 
 
現在の調達ルートでは、季節によっては九州から調達することもあり、自社の農業法人が関東近郊でトマトを栽培することで、輸送費も年1000万円節約できるうえ、輸送時間の短縮で鮮度の向上も図れるという。
 
 
※ 農業生産法人「野菜くらぶ
売上高:約13億円(2009年1月期)。7法人、56人の生産者が加盟し、農地面積は計280ヘクタールに及ぶ。同法人がこだわっているのが「適地適作」。レタスの場合、春と秋は群馬、夏は青森と群馬、冬は静岡で栽培し、年間を通じて供給できる体制を整えている。常に「野菜が喜ぶ環境で育てる」ことで栄養価が高く農薬の使用も低減できるという。モスバーガーや有機野菜などの宅配を手掛けるらでぃっしゅぼーや株式会社など、安定期的な販売供給先(栽培契約)を確保している。
 
※ 参考記事:日本経済新聞(2009/08/07)の記事など
※ 以下、モスフードサービス(株)が発表した「農業生産法人サングレイス」に関するプレスリリース【PDFファイル】
 

農業生産法人サングレイスを設立「食と農の連携」新しい農業の形
 
モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービス(代表取締役社長CEO兼COO:櫻田 厚、本社:東京都新宿区)では、モスバーガー店舗で使用する生鮮野菜の安定した調達と農業生産地との協力体制強化を目指し、平成18年2月に農業生産法人・株式会社サングレイス設立しました。来る2月より、作付けを開始し本格稼動します。当初は、糖度・酸味に優れたトマト約600トン(年間収穫総量)を、全天候型耐候性ハウスで生産する計画です。
 
株式会社サングレイスは、株式会社野菜くらぶ(農業生産法人、代表取締役社長:澤浦彰治、所在地:群馬県利根郡昭和村)ならびに個々の生産者などとの共同出資会社で、資本金は4,950万円です。一般株式会社の農業生産法人への出資については、農地法により「株式の譲渡制限」があります。農業関係者(農家、農協等)以外の一構成員は、総議決権の1/10以下と決められています。当社は、新会社に対し6,000万円を出資し、約61%の株式を保有する筆頭株主となりますが、無議決優先配当株式が保有株式の大半となるため、議決権ベースは、1/10となっています。
 
一部外食企業では、構造改革特区にて農業参入している企業もあります。しかしながら、当社では、本来的に農業生産地の活性化を目指して企業が協働して体質強化・向上していくためには、こうした共同出資方式が必要と判断しました。当社では、1997年以降、国内生産農家との協力体制を構築(協力農家約2000軒)し、産地・生産者の顔が見える野菜を提供してきました。こうした活動により、さまざまな生産者との連携が深まり、今回のような形態へ発展させることができました。今回の事業は、こうした産地との連携手法が評価され、農林水産省より国庫補助事業(広域連携等産地競争力強化支援事業、補助金は約3億円)に指定されています。規制緩和と生産者擁護の議論が平行線を辿る我が国の農業において、本事業は「これからの一般企業と産地との連携の形」だと確信しています。
 
株式会社サングレイスは、群馬と静岡に計3農場を保有し、総作付面積は3.8ヘクタール(約11,400坪)です。3農場全てに耐候性ハウスを建設し、台風など天候による被害を受けない全天候型農場となります。隔離土耕(農作物と土を接触させない農法)など先端技術を導入し、糖度・酸味に優れた当社の規格にあう大きいサイズのトマトを生産開始します。
 
過去数年、天候に左右される生鮮野菜の安定調達は困難となっています。とくに優良なトマトは、夏場以降欠品(当社の協力農家からの集荷が不足し、一般流通品を代用)が毎年のように続いてきました。新会社のトマトの年間収穫総量は約600トンで、このうち当チェーンで使用可能なL型優良トマトの収穫は約180トンを見込んでおります。
 
モスフードサービスでは、「人間貢献・社会貢献」の経営理念のもと、「おいしくて、安全で、健康によい商品」を「真心と笑顔のサービス」とともに提供することに一貫して取り組んでいます。食全般に対する関心がますます高まる中で、外食産業と農業生産現場との協働は、必要不可欠な要素となりつつあります。モスバーガーではあらゆる角度から、本当に実りのある協力方式を模索し、日本国内の農業や地域社会へ貢献していく考えです。

 
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

大和ハウス工業 アグリキューブ 植物工場バナー
次世代農業EXPO 植物工場バナー
昭和電工 植物工場 バナー
植物工場ビジネス・セミナー講義バナー

過去のピックアップ記事

  1. グーグルが農業ビッグデータ解析ベンチャーに18億円の投資
     テクノロジーベンチャーに投資を行っているグーグル・ベンチャーは、農業ビッグデータ解析サービスを提供…
  2. ハイテク自動化が加速するシンガポール農業。植物工場など多段式の新技術にも注目
    国内における葉野菜の生産量11トン以上、自給率13%を占める  シンガポールでも農業のハイテク化が…
  3. 3Dプリンターで造る未来の食べ物「Edible Growth」
     テクノロジーは野菜を生産する植物工場だけではない。オランダのアイントホーフェン工科大学を去年卒業し…
  4. ベトナムの不動産開発ビン・グループ、有機露地栽培・植物工場など高品質野菜の生産へ
     ベトナムの不動産開発大手のビン・グループは、子会社(ビン・エコ)を設立し、有機栽培や植物工場などの…
  5. 1万カ所以上もあるキューバの有機都市型農業、大きなビジネスチャンスとして狙う米国の農業資材メーカー
     キューバと米国による国交正常化に関する交渉開始のニュースが広がっている中で農業ビジネスにおける交流…
  6. 完全人工光型植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」での生産開始
     東芝は、神奈川県横須賀市に所有する遊休施設を利用し、無菌状態の野菜を作る植物工場「東芝クリーンルー…
  7. LED型植物工場による生産システムの確立へ いちごカンパニー
     廃校を活用した植物工場を運営するいちごカンパニーでは、LED光源を利用した閉鎖型植物工場におけるイ…
  8. 米国ワシントンの大学、食・農業ビジネスを通じて都市問題を解決する起業家の育成へ
     米国ワシントンDCにあるディストリクト・オブ・コロンビア大学では、食・農業ビジネスを通じて都市問題…
  9. ドイツベンチャーによる都市型・大規模アクアポニクス施設を建設
     ドイツ・ベルリンにて2012年、れんが造りの古い醸造所跡に設立されたECFファームシステムズ社によ…
  10. 完全人工光型植物工場による遺伝子組換えイチゴ。イヌの歯肉炎軽減剤が動物用医薬品として認可
     (独)産業技術総合研究所・北海道センターの生物プロセス研究部門植物分子工学研究グループは、ホクサン…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. 英国消費者の30%が意識的にローカルフード食材を購入
     英国の食品・食料品流通関連の調査会社であるIDGによると「意識的に地元食材(ローカルフード)を購入…
  2. 新日鉄住金エンジ、ローソンファーム秋田の植物工場に自社システム建築商品を納入
     新日鉄住金エンジニアリング株式会社の建築・鋼構造事業部のシステム建築商品「スタンパッケージ(R)」…
  3. 食品スーパーのバロー、ブナシメジ栽培の農業法人を子会社化・自社栽培比率を拡大
     食品スーパー大手のバローは年内に複数の農業法人を傘下に収め、農業分野に本格進出する。今秋、第三セク…
  4. 西松建設、玉川大学との連携事業・LED植物工場のショールームが完成
     西松建設は4月11日、玉川大学との産学連携事業として開発を進めているLED植物工場について、新規参…
ページ上部へ戻る