NASAによる衛星技術と農場現場のデータを融合させたハイテク農業アグリ2.0、リアルタイムに灌漑システムも制御可能

米国でも都市型農業として多段式の水耕栽培(植物工場)にチャレンジする企業や大規模な露地栽培においてGPSやセンサーネットワーク技術が導入され、次世代の農業ビジネスとして、アグリ2.0(Agriculture2.0)と名づけられた農業ビジネスに注目が集まっている。
 
 
例えば、大規模フィールド栽培においても、iPadやスマートフォンの画面を見ながら、GPS内蔵トラクターの車輪に腰掛けて作業を行う農業も夢物語ではない。今週の天気予報やマーケット予測、農場現場の温度・湿度や土壌水分量といった詳細データが画面上に表示され、ボタンひとつで灌漑システムの制御が実行できる。こんなハイテク農業が、投資コストや採算性を無視すれば、技術的には可能な段階にまで到達している。
 

写真はNASAの研究プロジェクト「precision farming

なかでも効率的な水使用を実現する灌漑システムの自動制御技術は、特に必要とされている分野である。米国の水使用量の70%が農業用水として利用されているからだ。その他の国では、さらに高い割合で農業用水へ利用されていることも少なくない。このように農業分野で大量に使用する水資源を効率よく管理することで、地下水や川、湖の保全・維持にもつながるだろう。
 
 
現在、NASAでは独自に開発したコンピュータープログラムによって、農家が灌漑システムをリアルタイムに管理できるための実証実験を進めている。本ソフトウェアはTOPS(Terrestrial Observation and Prediction System)を改良したもので、NASAの衛星や地域の天気予測、農場に設置されたワイヤレスなセンサーネットワーク技術によって得られた全てのデータを処理しながら、最適な水量レベルや栽培環境情報を農家に提供することができる
 
 
本システムは既に、肥沃な農地として知られるカリフォルニア州中部にある大渓谷San Joaquin Valleyの複数農家によって、最適な灌漑制御を行うために18ヶ月の実証実験が行われている。システムを導入することで、衛星と農場・栽培現場のデータを融合し、個別の農家へリアルタイムに情報提供を行っている。今後の研究成果に期待したい。
 
 

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植物工場・農業ビジネス編集部

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