丸紅の植物工場(土壌栽培)ビジネスに関する設立経緯と今後の取り組みについて(植物工場併設型の住宅マンション・ニーズについて)

最近は商社も、植物工場や農業ビジネスに力を入れていることは、昨日の双日のニュースからも明らかである(双日に関するニュース一覧はこちら)。今回は丸紅の植物工場ビジネス参入の経緯や今後の取り組みについて整理した。以下、同社の機能化学品部 課長である藤原澄久 氏のインタビュー記事を一部、ご紹介する。
 
 
丸紅が室内植物工場を始めたきっかけは、2001年、全社横断的な事業開発を目的とした
ビジネスインキュベーション部が設立されたことであった。縦割りが強い商社の組織において、複数の分野にまたがるビジネスを創出すべく、さまざまな部門から人が集められた。当時、着想として室内植物工場もあったが、ごく普通の水耕栽培方式では事業性のあるビジネスモデルが描けず、部内の話題の1つといった程度であった。
 
 
2006年、私が化学品部門から異動したころ、ビジネスインキュベーション部にバイオベンチャー企業が持っている砂漠緑化用の土壌改良剤の話が持ち込まれた。もちろん植物工場用として持ち込まれた話ではないが、われわれとしてはまさに天佑(てんゆう)で、これを利用すれば根菜類など、それまで制約の多かった植物工場の栽培品種が一気に広がることが期待された。土耕栽培による室内植物工場であれば、高付加価値の野菜類を栽培することで収益力も増し、ビジネスとして十分成立する可能性が出てきた
 
 
土との出会いが多品種栽培を可能にした一方で、室内での土耕栽培の場合、いかに雑菌の繁殖を防ぐかという課題をクリアしなければならなかった。しかし、ここにも天佑があった。部内の別チームにて、微生物の有機物分解によりバイオマスからでバイオエタノールを抽出するビジネスを検討しており、この微生物の特性である、後から入ってくる他の微生物の繁殖を抑制する効果に着目することで、この課題をクリアすることができた。
 
 
この後も、可動式ラック、次世代型照明、高反射率シートなど、さまざまな方面から知恵と技術を得て室内植物工場のシステムが出来上がったが、そこには天佑だけでなく、商社ならではハブ機能があったのではないかと思う。

→ 詳細はJFTC-日本貿易会のレポート(PDF)に掲載されております。
 
 
その他の関連したニュースでは、マンションに植物工場を併設した付加価値物件の提案である。こうした取り組み・ニーズについては、海外(アジア)を中心に私共でも調査しておりましたが、実際に国内で商品が実現されるとは驚きである。住民向けに共同の植物工場を併設させることで、どれだけの付加価値が高まるのか、本当に住民が望んでいるサービスなのか、といったご意見も多いのが実情。
 
 
今後、こうした商品が次々と現れることは、なかなか想像しにくいが、それでも新しいサービスやコンセプト、イメージを魅力的に受け取るお客は必ず存在しており、さらに共同スペースにて併設した植物工場も、活用次第では魅力度も増す可能性はあるのではないだろうか。
 
 
例えば、お子さんを持つファミリー層をターゲットに、住民間のコミュニティーツールとして、定期的な科学実験の場として(親子での体験授業)など・・・様々なアイデアが思い浮かぶ。ただし、日本では安心・安全な野菜が比較的、お手頃な価格で手に入る。尚且つ、インフラや流通、保存技術も確立されており、新鮮なものが当たり前。また” 工場野菜 ” よりも、” 有機野菜 ” を支持する消費者も多いはず(ネーミングや、深い内容はここでは割愛)。
 
 
それに比べて海外の富裕層の多い都市部では、郊外の農地から収穫した野菜を大きな網に入れ、トラックの荷台に乗せて数時間、デコボコ道を運んでいるケースが多い。色々な調査データがあるが、中央市場に運び込まれるまでには6割弱の野菜に傷みが発生している、という。さらに最近では、香港やシンガポール、台湾などの富裕層は、日本で生産した野菜の宅配サービスを受けている人々も増えている。もともとは現地の日本人向けに開始したサービスも、その国の富裕層にも浸透してきている模様(例: オイシックス香港など)。
 
丸紅の植物工場(土壌栽培)ビジネスに関する設立経緯と今後の取り組みについて(住宅マンションへの導入)
丸紅の植物工場(土壌栽培)ビジネスに関する設立経緯と今後の取り組みについて(住宅マンションへの導入)

<写真は中東で提案されている居住スペースに植物工場を提案しているもの>

 
話を戻し、マンションに併設した植物工場だが、やはり日本より海外でのニーズの方が強いかと思います。色々と話はつきないが、今回の丸紅が提案する商品・サービスに対して、居住者がどのような反応を示し、感想を漏らすのか、非常に楽しみな所である。以下では関連した記事を掲載しておく(日本経済新聞より・11月4日)。
 

マンションに植物工場、丸紅が併設、物件に付加価値。
丸紅は植物工場を併設したマンションの開発を始める。ベンチャー企業と共同開発した設備を屋内の共用部に設置。取れた野菜は住人に提供する。少ない手間で建物内部を緑化でき、住人同士の関係づくりにも生かせると判断した。3〜4人世帯用のマンションには今後、原則採用する方針で、物件の付加価値を高めて販売増につなげる。
 
植物工場はヴェルデ(神奈川県厚木市)と共同開発した。保水性の高いコケを含む特殊な土壌を使い、発光ダイオード(LED)照明などで温度や明るさを最適に保つ。手間をかけずに根菜や葉もの野菜を育てられるという。
 
まず2011年春に東京都世田谷区で着工する総戸数約60戸のマンションに設置。設備の大きさは約4平方メートルで、各世帯に収穫した野菜を1株ずつ割り当てられる規模を想定する。設置コストは200万円前後で、完成後はマンションの管理組合が維持管理を担う。

 
 

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植物工場・農業ビジネス編集部

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