三菱ケミカルホールディングスの完全子会社の地球快適化インスティテュートは、農業ベンチャーのメビオールが開発した特殊フィル技術を活用した節水農法の実証試験を、オーストラリアで開始したと発表した。
既に8月から豪州ビクトリア州内の施設でトマトの試験栽培を始め、節水効果や収量を調べている、という。
今後、露地での穀物栽培への応用に向け、日豪の技術を持ち寄って技術開発をする計画。ビクトリア州政府を含めた3者では、周辺のハウス農家向けに、フィルム商品の普及も進めていく。
メビオールの開発した特殊フィルムは、水分と養分だけを通し、病害虫・ウイルス等は通さない。植物はフィルム表面に根を張り、植物が生長に必要な最低限の水分を吸収する仕組み。
トマトの栽培で使う水の量は国内では95%も抑えることができた。植物への水分供給を制限することで、若干の収量減にはなるが、高糖度トマトとなり、商品価値を高める効果もある。
メビオールは1995年に医療用膜の技術者だった森有一社長が立ちあげたベンチャー企業。膜(フィルム)を農業に応用する技術を2008年に開発した。フィルム栽培は国内でも、商社の双日が実証実験を行っており、各社から期待を集めている。
[関連記事] 双日、メビオールによるフィルム栽培を採用したローコスト植物工場の開発
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