法律の改正や社会貢献事業としての評価。水耕栽培を利用した障害者雇用の拡大が進む(有限会社新鮮組など)

大手企業の特例子会社や社会福祉・医療法人などの農業参入において、高齢者や障害者などの雇用に積極的に取り組んでいる企業も多い。その多くが重労働が少ない水耕栽培システムを導入している。過去にも、水耕栽培(野菜工場)施設にて15名の障害者を一般雇用/ホウレン草の出荷開始<みやこ福祉会:沖縄>物流大手のセンコー、廃校内で植物工場を運営。キノコ、菊などの栽培へといった情報を掲載してきた。
 
 
ここでは簡易型の水耕栽培技術を確立し、国内外への普及や障害者雇用にも貢献している農業生産法人「有限会社:新鮮組」をご紹介しておく。創業者の岡田氏は、水田や畑を耕作してきた当初から補助金は受けずに事業を今まで継続しており、最近では水耕栽培の普及に力を入れている。補助金を受けない理由は「補助金に頼ると、効率やコストの概念がなくなる」と考えるからである、という。

法律の改正や社会貢献事業の評価。水耕栽培を利用した障害者雇用の拡大が進む(有限会社新鮮組など)
 
「ナチュラル水耕栽培」と名付けられた栽培方法は、温室を使わず自然環境を生かした露地栽培に近い水耕栽培である。もとは屋上緑化向けに開発した方式。水を停滞させず、自在に排水させる技術にノウハウがあり、2005年に特許も取得している。必要なのは木製プランター、液体肥料を入れるタンク、それを循環させる配管設備とポンプ程度。ホームセンターで買えるような材料で、初期投資は10アール当たり約500万円。従来の水耕栽培に比べて10分の1以下程度である
 
 
最近は、中国の知人の協力を得て08年3月から山東省で無農薬レタスの栽培実験を開始。半年後には現地の百貨店で販売も行っている。100グラムで7.5元(約95円)と、中国では高価で一般のレタスの10倍だが、売り切れる日もある人気だという。「中国では富裕層を中心に安全な野菜へのニーズが高いことがはっきりした。現地の焼き肉レストランから引き合いもある」という。
 
 
そして同社では、障害者雇用にも貢献しており、山口県宇部市の社会福祉法人「むべの里」では、遊休農地を借り、約1500万円を投じて2年前に同社の水耕農場を設置。知的障害者ら5人がネギを育てている。市場に出す野菜を作るのは難しいが、運営する老人ホームなどの食事を作る給食センターにネギを出荷しており、1人3万円弱の月給を支払っている
 
 
当面は月4万円に増やすのが目標である。障害等級2級の人で月あたり約6万6千円の障害基礎年金を受給できるが、生活保護の水準を下回る。自活するには、その差を埋める4万円程度が必要と考えており、岡本氏は「生産が安定すれば十分可能」と太鼓判を押している。
 
 
もちろん法律・義務的な側面もある農事業における障害者雇用もあるが、もう少し社会貢献的にNPO法人や医療・社会福祉法人が手掛ける事例も増えている。また、食材・野菜の採用側としても、地元密着企業や地域経済にも貢献している事業に対して支援したいと考える企業も増えている。例えば学校給食には採用が難しかった工場野菜も、社会福祉法人が生産したものは、特例で採用されている。
 
 
もちろん品質や見た目も重要だが、それが生産されるまでのストーリー・背景、さらには、どれだけ社会に貢献しているかをアピールすることで商品自体の魅力度も増し、販路開拓にもつながる可能性があるのかもしれない
<2010年9月20日asahi.comの記事などを参考にした>
 
 

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植物工場・農業ビジネス編集部

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