IT技術により巨大農場のエネルギー消費を削減する(M2M Communications社)

アメリカでは、周りの小規模農家から土地を買い取り、より大規模で生産性を重視したビジネス志向な農家が多い。「どうすれば儲かるのか」「どの作物が高く売れるのか」こうした考え方から最近では、自分の農地を全てトウモロコシ畑に変え、バイオエタノール事業に参入する農家も増加している。
 
 
金融危機によるエネルギー需要の一時的な低下と石油価格の下落により、事業に失敗した農家も多かったが、それでも農家は常に儲かる方法を探し続けているだろう。そして、それは作物がいかに高く売れるのか、といった情報だけでなく、生産性を向上させ、生産(栽培)コストを削減する方法も欲している
 
 
上記のニーズ、課題(生産性の向上など)を解決する方法として、最近では農場のネットワーク化が進められています。アメリカのアイダホ州を中心に活動する M2M Communications社 では、農場に水をまく全てのスプリンクラーをネットワークにつなげ、遠隔操作ができるサービスを展開している。
 
 
アメリカの農場では、スプリンクラーのような小型の可愛らしいものではなく、センターピボット(以下の写真)と呼ばれる半径1km範囲でも水をまくことができる機械を導入している所が多い。記事によると、こうした巨大なセンターピボットを導入している農家は全米で25万ヶ所くらいあり、そのうち同社の機械を導入して、ネットワーク化を行い、遠隔操作を可能にしている所は2500カ所くらいあるという。(センターピボットを製造しているValley Irrigation社 と連携しながら、自社商品の普及を進めている)
 
センターピボット(Valley Irrigation社)
センターピボット(Valley Irrigation社)
 
もちろん他社製品を導入している農家もあるが、自社製品の導入率だけで考えるとセンターピボットを導入している農家の1%しかネットワーク化されていないことになる。今でも多くの農家がトラクターを走らせ、センターピボットのオン・オフ作業のために電源スイッチを押しに行っている。さらに故障した際、広大な敷地では、どのセンターピボットが故障しているのか発見するのに非常に手間がかかってしまいます。(ネットワーク化していれば、リアルタイムに故障個所を画面に表示することができる)
 
 
自社では、衛星通信だけでなく、電気通信事業者では米国内1位・2位のAT&T社ベライゾン社のネットワークを利用しており、センターピボットを稼働させる際に消費するエネルギー料なども全て、EメールやWEB上に表示することができる。
 
 
自宅にいながら、故障が起こればリアルタイムにWEB上(またはEメールにて)に知らせてくれ、電源スイッチを押しにわざわざ農場に行かなくても遠隔操作が行える。さらにセンターピボット稼働の際のエネルギー消費量を数値化し、夏の暑い日にエネルギー使用量が莫大になり、機械に負荷がかかり過ぎる場合は、自動的に判断して電源スイッチを勝手に切ってくれる、という優れもの。
 
 
友人の話ですが、最近の農家は実動時間が飛躍的に短縮され(アメリカの話ですが)、暇を持て余しては近くのパブに入り浸る人もいるようです。植物工場でも必須技術でしたが、導入が遅れていた農業分野にも、今後はネットワーク化が普及していくものと思われます。ただし、日本の小規模な農地では設備導入コストに見合ったメリットを享受できないので、普及には時間がかかりそうですが。今回、ご紹介した M2M Communications社 に関する財務データは以下のようになっております。
 
2007年の売上高:230万ドル(2004年が38,500ドル):Inc.Magazine より引用。