UAEでは来年までに36のオーガニックファームが開設(温室・水耕栽培を採用)。無農薬/自然食品市場が拡大しつつある

前回の記事では、UAEにおける国産食材や無農薬野菜について、まだまだ国内で支持する消費者が少ないことを記載した。マクロ視点にて国内全体を考えると、多くの消費者が「食を通じて健康になる」という意識が低く、薬や治療に頼っているのが現状のようだ
 
 
こうした現状を改善すべく、政府も環境水資源省や保健省がタッグを組んで、無農薬や自然食品の普及に力を入れているのだが、最近になって、その効果が徐々に数値として現れている。その傾向は2008年頃から現れており、この時期に温室による無農薬野菜を栽培する生産者が増え始め、UAEでは2011年6月までには、40ものオーガニックファームが運営予定である。
 
 
農業開発局によると、今年の上半期で既に13もの農場がオーガニックファームとして登録されており、昨年の同時期と比較すると、25%もの上昇率である、という。また、来年の6月までには23の農場が、オーガニックファームとしてリニューアル予定となっている今年と来年で36ものオーガニック農場が開設されることになり、既に運営している農場も含めると、UAE全体では40もの農場が存在することになる
 
 
<Salataファーム>UAEでは36のオーガニックファームが開設
こうしたオーガニックファームのほとんどが、温室による水耕栽培を導入しており、既に成功企業として紹介されているのが、「Salataファーム」である。同社ではハイテクな水耕施設(太陽光利用型の植物工場に近い)により、年中安定的に野菜を生産・販売している。
 
 
同社は2008年に設立した企業であり、トマトやトウガラシ、ハーブやミント類、パセリやトウモロコシといった作物を栽培している。無農薬栽培や環境負荷を軽減した循環型農業を実践する生産者として政府から認可を受け、特別に税金を免除されている企業でもある。国内のスーパーに販売するだけでなく、UAEの家庭へ宅配事業も行っており、レタスだと700円/kg、トマトが600円/kgほどで販売している。
 
 
この他にも、Nassar Al Refaee Vegetables & Fruits Trading といった野菜・果物の卸売業者(UAE・中東諸国の輸出入などを行っている)までもが、野菜の生産事業に乗り出し、国産野菜の需要に対応しようと温室栽培をスタートさせている。
 
 
もちろん土壌による有機栽培(食品廃棄物などの堆肥化を実践)にチャレンジしているシェフや生産者も存在しているのだが(関連記事:英語)<既に国際的にも有機認証を取得している>、限られた水資源と土壌環境により、多くの場合は温室栽培を選択している。
 
 
こうした無農薬野菜や自然食品の売上高は、UAEとオマーン、サウジアラビアといった国で伸びており、アジア地域も含めた従来型の食料との代替市場として、約5億ドルの市場規模があるとも言われている(6th edition, Middle East Natural & Organic Product Expo)。
 
 
今後は中東の気候にも適した栽培方法であり、高品質な食材を安定的に生産できる技術が求められるだろう。そして、政府も主張しているが、こうした栽培技術に加えて、再生可能エネルギーの採用や食品廃棄物の堆肥化といった環境にも優しい農業を実践する企業に手厚い支援を行っていくようだ。
 
 
※ Salataファームの様子(動画・音声なし)

 
 

日本国内の植物工場ビジネスについては、調査レポート:植物工場ビジネスの将来性『植物工場の6割赤字/収支均衡3割の現状を打破するためには』 に掲載しておりますので、参考にして頂ければ幸いです。