施設園芸・植物工場のAI栽培管理、米国ベンチャーが750万ドルの資金調達を実施

 米国シアトルを拠点とするベンチャー企業「ユーニュー社」では、施設園芸・植物工場の栽培管理システムを開発。事業拡大のため、Bootstrap LabsやNCT Venturesから750万ドルの資金調達を実施した。

同社のメイン事業は、ルナというAIシステムの開発である。ルナシステムでは、施設の天井部に設置されたレール上を自律的に移動して、撮影するカメラ装置が導入されている。

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レール上を移動しながら、植物を撮影・モニタリングすることで、成長速度といった栽培観測だけでなく、生理障害や病害虫の感染初期から発生する『わずかな差』を定期観測で見分けることが可能である。


AI・ルナシステムなどの紹介動画



同社は設立して6年ほどのベンチャー企業であり、2017年8月には600万ドルの資金調達を行っている。

同社が開発したAI・ルナシステムは、大型の太陽光利用型植物工場にて、約3年間の実証期間を経て、本システムの販売をスタートした。


温室ハウス市場の年平均成長率は20%となっており、今後も市場拡大が見込まれている。こうした市場をビジネスチャンスととらえ、今回の資金調達にて、同社が開発したAIルナ・システムの普及を進めていく。

本社はシアトルだが、サンフランシスコとサンディエゴにもオフィスを開設。35名の従業員にて、米国内9つの州に渡り販売実績を持ち、一部ではカナダでも販売している。

AIシステムと光源プラズマ・ライトと連携

AI・ルナシステムについて取得した栽培データは、PCやスマホから遠隔でチェックすることができるだけでなく、環境制御を行うことで、最適な栽培環境を実現することも可能である。

その第一ステップとして、同社ではAIシステムと光源を連携。成長に最適な光環境を実現することができる。なお、同社が連携した光源は、米国では一部の施設・作物では利用されている高出力が可能な「プラズマ・ライト」(太陽光利用型の補光用)を採用している。

同社では今後、AI・ルナシステムを普及させるとともに、各センサーや灌漑・空調システムなど、様々な環境制御システムと連携することで、栽培管理の自動化を進めていく、という。