伊藤忠CTCなど、ICTを活用した農福連携・未来型ユニバーサル農業の実証実験を開始

 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)とCTCの特例子会社で、障がい者を雇用した農福連携・ユニバーサル農業を実践する株式会社ひなりは、ICTを活用した未来型ユニバーサル農業の実現に向け、静岡県浜松市の京丸園株式会社とともに実証実験を開始した。

伊藤忠CTCなど、ICTを活用した農福連携・未来型ユニバーサル農業の実証実験を開始
■ユニバーサル農業とひなりの農福連携モデル(通称:ひなりモデル)
近年、人口減少や高齢化が進む中で農業分野と福祉分野が連携した「農福連携(ユニバーサル農業)」が注目されています。これは、障がい者や高齢者の社会参画を進め、その効用を農業経営の改善や担い手の育成に活かす取り組みです。

様々な工程がある一連の農作業を「工程分解」し、誰にでも作業ができる形に切り分けることで、農作業の効率化と障がい者の仕事の創出につなげます。

ひなりでは、障がいのある社員がサポートマネージャーとともにチームで連携農家の業務を行います。業務を請け負う際にはサポートマネージャーが農家とともに工程分解を行い、作業に必要な補助具などとともに作業手順書を準備します。

品質管理、衛生管理、安全管理を含めて業務管理を行うこの形態は「ひなりモデル」と言われ、連携農家の業容拡大に貢献しています。


■実証実験の概要
○目的:ICTを活用した未来型農業モデルの検証
○期間:2018年10月26日~2019年3月29日
○手順:
(1)環境センサーデバイスを圃場に設置し、リアルタイムに圃場の状態をモニタリング

(2)予め設定した環境センサーの異常値を検知するとタブレット端末やスマートフォンにアラートを通知

(3)圃場内にデジタルサイネージを設置し、圃場のカメラ映像と環境センサーで収集したデータを見える化。気象状況などとあわせて農作業者が作物の栽培に関して積極的な意見交換ができる状況を整備し農業の働き方改革につなげる

(4)圃場から収集した画像と環境センサーのデータを蓄積し、AIを活用して野菜の育成に最適な環境を分析・推論


実証実験は京丸園が栽培している「姫みつば」の圃場で行います。姫みつばは、長さ15cm(一般的なみつばの1/2)ほどの香味野菜で、日射量によって葉やけ(葉の表面上に変色した部分ができる現象)が発生しやすく、葉やけが発生すると都度、該当箇所を除去する必要があります。

今回、姫みつばを栽培するビニールハウスにカメラ1台と環境センサー(日射量・温湿度・水温の測定)を設置し、栽培過程のデータから、AIで葉やけの発生原因や成長状態を分析します。

分析結果をもとに、ビニールハウスの環境を維持していくことで、将来的に農作業の効率化と障がい者の仕事の創出につなげます。


■京丸園株式会社について
京丸園株式会社は浜松市で、あいがも農法のお米や水耕みつば・ねぎ、ちんげん菜などを育てる生産農家です。浜松での農福連携の先駆けとして1997年から障がい者雇用を始め、現在はユニバーサル農園として障がい者24名を雇用しています。