日立システムズ、流通構造の多様化を受け「青果サプライチェーンサービス」を提供開始

 株式会社日立システムズは、食品スーパーなどの小売業や食品製造業向けに、2018年6月の卸売市場法改正を踏まえた新たな青果流通ルートを提供することで、生鮮品の納期短縮や仕入れコストの低減、トレーサビリティ管理を支援する「青果サプライチェーンサービス」を10月から提供開始する。

本サービスは、従来の卸売市場を通じて取り引きを行う青果流通ルートではなく、日立システムズとパートナーシップ関係にある生産者、青果コーディネーターと食品スーパーや食品製造業のお客さまをデジタル化により一元管理されたサプライチェーンでつなぐサービスです。

これにより、従来の市場を介した取り引きルートに加え、市場を介さずに、より生産者と直接的で効率的な取り引きをすることが可能となり、品質・鮮度の良い商品の仕入れや仕入れに関わるコスト低減を実現できます。

さらに、「青果サプライチェーンサービス」を通じた取り引きデータは、本サービスで一元的に管理されるため、トレーサビリティ管理を効率的に行えます。

なお、ファーストユーザーとして、東海地区を中心とした地域密着型スーパーの株式会社カネスエに本サービスを提供します。

日立システムズ、流通構造の多様化を受け「青果サプライチェーンサービス」を提供開始
小売業界では競争の激化が進んでおり、他社との差異化戦略の一つとして、より産地と直結した生鮮品の確保が求められています。
さらに、卸売市場法の改正などにより、「卸売業者」が「仲卸業者」を介して市場外の業者と取り引きする原則や、「仲卸業者」が産地と直接取り引きできない制約などが緩和されるなど、流通構造の多様化が進行しています。

小売業では、こうした環境変化に対応して、より品質・鮮度の良い商品を、適切な価格で確保する必要に迫られています。

また、消費者の食の安全・安心に対する関心が高まる中、2017年9月より原産地表示の義務づけが進む加工食品業界と同様に、小売業界における生鮮品のトレーサビリティ管理の重要性が増してきています。

青果流通においては、電話やFAXでの受発注が多く、さらには統一されたコード体系が存在しないことにより、小売業、中間卸売業者、農業生産者が利用する業務システム間のデータが連携されておらず、情報を活用した効率化が実現できていませんでした。

そのため、情報の活用とトレーサビリティの実現に向けたデータ連携の仕組み改善、青果流通プロセス全体での情報一元化に対するニーズが高まっています。


こうした背景を踏まえ、日立システムズは生鮮品の納期短縮やコスト低減、トレーサビリティ管理を支援する「青果サプライチェーンサービス」を提供開始します。

ファーストユーザーとして、東海地区を中心とした地域密着型スーパーのカネスエ向けに、株式会社日立ソリューションズ西日本、株式会社ファーム・アライアンス・マネジメントと連携し、本サービスを提供します。

カネスエは、消費者の食の安全・安心への関心が高まる中、これまでも産地にバイヤーが足を運び、品質と安全を厳しく見定め、管理しながら食材を仕入れていました。今後は、より一層の品質向上を目的に、仕入先および農業生産者に対し、GLOBAL G.A.P.等の認証取得を推奨しています。

中間卸売業者の中でも魅力的な商品を確保可能で、物流管理も徹底している青果コーディネーターであるアイゼンライン株式会社を通じたサプライチェーンを構築しました。

アイゼンラインは、ファーム・アライアンス・マネジメントの生産情報管理システムや日立ソリューションズ西日本の販売管理システムを活用して生産履歴や出荷情報などを登録し、農業生産者などから安全で高品質な青果を仕入れ、カネスエ向けにスピーディーに届けるほか、産地開拓やコールドチェーンの構築を支援します。

本取り引きに関わる受発注は、日立システムズのクラウド型EDIサービス「REDISuite」を通じて電子的に行われ、各種データをサプライチェーンに関わる生産者やアイゼンラインなどとシームレスに連携します。

これにより、市場を介さずに品質・鮮度の良い商品の確保を実現するとともに、サプライチェーン全体でのデータ一元化を実現し、トレーサビリティ管理を効率化できます。

今後、日立システムズでは、カネスエ向けの「青果サプライチェーンサービス」における取引先や取り扱い商品を拡充していくとともに、今回の事例を生かして他の小売店や食品製造業向けに拡販し、2021年度末までに流通総額100億円をめざします。

また、将来的には、一元管理する各種情報とSNS上での発信情報やトレンド情報、気象情報などの外部データを組み合わせてクラウド上に集約し、データ解析やAI(人工知能)などの技術を活用した分析を実施することで小売業や中間卸売業者、農業生産者に有益な情報をリアルタイムで提供するサービスなど、農業生産・流通に関わるバリューチェーン全体のサポートするサービスを拡充していく予定です。