建設業2社と社会福祉法人の共同事業:観光農園を運営(有限会社KKN:きんた農園ベリーネ)

有限会社KKNの事例(きんた農園ベリーネ)
有限会社KKNの事例(きんた農園ベリーネ)は06年3月に、島根県・浜田市の建設業2社と知的障害者の自立施設を運営する社会福祉法人の三者が共同で設立した会社で、イチゴとピオーネの施設栽培と観光農園を行っている。三者の接点は地元の環境グループを通じた活動であり、建設業は事業縮小が続くなかで新たな事業展開を検討しており、また社会福祉法人の方は障害者の働く場を確保したいとの思いが、三者連携による農業参入という形で結実した。
 
建設業2社と社会福祉法人の共同事業:観光農園を運営(有限会社KKN)
 
作物は、地元が産地化を進めているピオーネは当初から決めていたが、周年雇用の点でいちごの栽培も行うことにした。また、農業だけでの事業化は難しいため、障害者雇用の場を含めた観光・福祉一体型の農業を目指すことにした。しかし、現実には三者とも農業については素人に近いため、県や市の支援が参入の決め手となり、それなしでは参入は不可能だったという。
 
 
農地は浜田市から2ha賃借し,いちごのハウス2棟(25a),ピオーネのハウス(64a)を建設した。建設資金は、県(「産地づくり型2」の契約取引タイプ)と市の補助で3分の1程度まかない、残りは公庫の長期資金を利用した。また、農園開設とほぼ同時に認定農業者となった。
 
 
農業技術は、ピオーネは経験者の採用ができたが、いちご栽培のノウハウは全く無く、県の農業技術センターが独自に開発した「島根型養液栽培システム」を導入し、技術習得のために同センターへ職員を派遣した。この研修が栽培技術の習得の大きなサポートとなり、その後も技術センターや普及員の指導を受けている。
 
 
こうした支援により、初年度にもかかわらず、いちごは予想以上のものが出来たと評価している。現在の人員は、営農担当の常勤役員1名、パート2名、障害者の研修生2名である。障害者の方の仕事ぶりは大変熱心で、観光農園の来園者の案内も行っている。また、苗の定植など多くの人手が必要なときは、施設から臨時的に応援を受けている。
 
 
当社の農業参入は、知的障害者の雇用支援もあって地元マスコミで大きく取り上げられた。こうした効果もあり予想以上に観光農園への来園者数が多く、設立前は販路の不安があったが、現在いちごは園内で大半がさばけてしまい、むしろ持ち帰り用や外部販売向けは品不足状態にある。また、障害者施設で製造されるいちごのロールケーキ等も好評であり、今後は加工品の多様化にも力を入れ、それに伴っていちごの需要は一層伸びると期待している。
 
 
現在では、ピオーネの方も収穫体験が可能となっている。ピオーネは収穫までに3年を要することから、設立当初はいちごの収入でピオーネへの投資をカバーしていた。施設に入所した知的障害者のうち、就労にまで至るのは1%程度という厳しい現実があるなかで、農業と障害者の自立支援を結び付ける当社の取組みは、地域が持つ内発性を引き出す興味深い事例といえる。
 
 
※ 農林金融レポート(2007年7月)を参考に、一部改変。