築地市場に次ぐ世界第2位の事業規模、ニューヨーク・新フルトン魚市場について

食品産業の動向と市場の存在意義
ニューヨーク・新フルトン魚市場の見学を通して

世界第2位の水産物市場

 ニューヨークの街の窓明かりが消えていく真夜中、多くの自動車やトラックが人知れずニューヨーク市ブロンクス区に向かっている。彼らの目的地は、食品産業の集積地区「ハンツポイント」に他ならない。

このハンツポイント地区には、新フルトン魚市場(水産物)、ハンツポイント農産物市場(青果物)、ハンツポイント協同市場(食肉)という3つの巨大な食品市場があり、これらがニューヨーク都市圏の食品の大部分を供給している。

集まってくる自動車やトラックの列は、新鮮かつ安価な農産物・水産物を求める外食店、食品スーパーなどの調達担当者の列なのである。

筆者は、このハンツポイントに位置する新フルトン魚市場(The New Fulton Fish Market)(*1)を2018年1月中旬に取材し、同市場の相談役で元CEOのジョージ・マロリス氏に話を伺った。

食品産業の動向と市場の存在意義 | ニューヨーク・新フルトン魚市場の見学を通して写真:新フルトン魚市場の入場門(筆者作成)

 マロリス氏によると、新フルトン魚市場は30社の水産卸売業者を出資者とする協同組合であり、築地市場に次ぐ世界第2位の事業規模を誇る。

敷地面積は約3.7ヘクタールに及び、年間の売買高は10億ドルを超える。ニューヨーク都市圏からはもちろんのこと、カナダのモントリオールからも6時間かけて調達担当者が訪れるなど、米国東海岸一帯に大きな存在感を示している。


*1: マンハッタン区南部のフルトン・ストリートにあった米国最古の水産物市場「フルトン魚市場(The Fulton Fish Market)」がこの市場の前身であり、2005年に行われたブロンクス区ハンツポイントへの移転の際に名称を「新フルトン魚市場(The New Fulton Fish Market)」へ改めた。

市場移転の成功事例としても知られ、東京都からも築地市場移転の参考とするべく視察が来ているという。


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投稿者プロフィール

八隅 裕樹
八隅 裕樹
・神戸大学経営学部 卒(2012年)
・兵庫県信用農業協同組合連合会 入会(2012年~現在)
・コロンビア大学ビジネススクール 客員研究員(2017年~現在)

【資格】
・中小企業診断士 ・応用情報技術者

【研究】
・農業、食品産業 ・農業金融、協同組合金融 ・金融・経済史