【ケース事例】カゴメの大規模ハイテク施設。国内消費量トマトの1.5%を生産/規制緩和を受けて様々な事業体にてチャレンジ

以前、カゴメのハイテク温室栽培施設「響灘菜園」をご紹介したことがあるが、今回は同社の全体的な農業参入経緯や現状をまとめたいと思う。

トマト加工品トップメーカーである同社は、生鮮トマトの生産(農業ビジネス)に進出したのが1998年(社内に生鮮トマト事業部を設立、翌年から本格的な事業展開を実施)。当初の事業モデルは農業生産法人への出資(10%)という形をとっている。
後には非農地に株式会社として大規模な温室ハイテク栽培工場を建設する事業形体を採用しながら(法的規制緩和などがキッカケ)、今では、全国のトマト消費生産量70万トンのうち、約1.5%の1万トンを生産している

事例3:カゴメの農業参入。大規模ハイテク栽培にてトマトを生産。国内生産量の1.5%を占める。

同社は加工用トマトの全量買い取りを実施することで、個人農家と栽培契約を結び、全国は北海道から九州まで、栽培農家約30カ所・数百人と契約し、安定供給をはかっている。しかし、オリジナルブランド「こくみトマト」の人気・需要増から、高品質・安定供給が可能な大規模ハイテク施設が必要となり、H11年(1999年)に総額4億5千万円を投資して、大規模生産工場である美野里菜園(茨城県)を建設した

カゴメ「こくみトマト」

しかし、この当時の法規制は株式会社が参入するには大きな障壁もあり、農業生産法人に出資して提携する事業モデルを採用した(株式会社の出資規制は10%まで)。広さ1.3haもある美野里菜園は、建物全てをカゴメが所有しながら、設立した農業生産法人として地元の農業者にリース・トマトの生産・出荷を行い、生産したトマトをカゴメが買い取る形をとっている。


※ 現在の改正農地法では、出資比率の上限を1社あたり10%から25%まで出資が可能となる。また農商工連携に認定されれば、1社当たり50%未満までの出資を認めている。


次に建設した広島県の世羅菜園も同様である。ここは畑地総合開発事業という国家プロジェクトが開墾したが、入植者が去って困り果てた行政・自治体が誘致・勧誘を図ってきたものである。ここでも出資規制最大の10%を農業生産法人に出資して、総事業費12億円、広さ3haの生産工場を建設した


その後も同様の事業体でトマト生産事業に進出しており、高知県・四万十みはら菜園、長野県・安雲野みさと菜園、千葉県・みどり菜園、さらにはアジア最大規模を持つといわれる福島県・小名浜菜園を次々に立ち上げ、こうした生産工場を運営する農業生産法人に対して、カゴメの出資は10%(法的な最大出資額)にとどまっている


こうした現状(出資額の制限)を打開するプランとして考えたのが、非農地を使用した大規模菜園であり、限りなく直営に近い形での組織体であった。その一つが05年11月から生産・出荷している和歌山県・加太菜園である。5.2haの栽培面積があり、カゴメが64%を出資している株式会社(一部、オリックス等も資本参加)として、トマトの生産を行っている。


また8.5haを持つ福岡県・響灘菜園も、カゴメの出資比率70%という関連株式会社であり(一部、電源開発:Jパワーも資本参加)、全国の農業生産法人や関連株式会社、契約農家を全て含めると、同社のトマト生産量は約1万トンにも上る。全国の消費生産量が70万トンであるから、およそ1.5%のシェアとなる


販売・流通戦略でも、従来の卸売市場を通さずに、独自の流通チャネルを使って、外食産業やスーパー、コンビニに出荷。生産されたトマトは、全国4カ所(首都圏、近畿圏、北海道、九州)にあるカゴメの生鮮センターに搬入され、そこから取引先の各店舗に直接、配送される。


現在、日本のトマト消費量は国民一人当たり年間6kgと言われている。その消費量はイタリアの10分の一、アメリカの半分ぐらいの消費量でしかない。日本においては、トマト料理の種類が少なく、食卓に並ぶ機会が少ないのも一つの理由として挙げられるだろう。


同社では、調理トマト普及のため、各スーパー店舗には派遣された「こくみレディ」が、試食を通じて消費者に直接アピールを行いながら、年間消費量を2万トンに増加させるべく、様々なプロモーション活動を展開している。

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植物工場・農業ビジネス編集部

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