パナソニック株式会社は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)、一般社団法人野菜プラネット協会や各生産企業とコンソーシアムを組み、農作物の輸出拡大に向けた栽培作付手法確立の実証実験を開始した。
昨今、海外における日本食ブームにより日本食材の人気が高まってきています。政府は、農林水産物・食品の輸出を2019年1兆円とする目標(※1)を掲げており、今後急速な農作物の輸出拡大が見込まれます。
日本国内で栽培される農作物の輸出を行うためには、輸出先各国が規制する残留農薬値内にする必要がありますが、個々の生産者が自身で対応しているケースが多く、手間がかかるだけでなく、税関検査において残留農薬規制違反となるなどの事象も発生しています。
このような状況を受け、今後、各国の残留農薬規制に対応できるシステムの導入や、農業生産工程管理ツールであるGAP(※2)の取得ニーズが高まることが想定されます。
パナソニックは、2016年12月よりサービスを開始している双方向クラウド型農業管理システム「栽培ナビ」に、CTCが開発する海外を中心とした残留農薬データベースを連携することで、輸出を希望する農業法人や農業者に対し、対象国向けの残留農薬情報の提供と栽培手法確立のサポートを行います。
また、「栽培ナビ」は、JGAP2016、ASIAGAP(※3)に対応しており、野菜プラネットが制作する農業者向けの「GAP取得支援映像コンテンツ」を組み込むことで、より便利なシステムとして、GAP取得の促進を図っていきます。
今回の実証実験は、2020年3月までの期間中、このシステムを活用し、横江ファームと開発営農組合が栽培を、JAおうみ冨士が栽培の指導等サポートを行います。これにより、ICTを活用した輸出向け農作物の栽培作付手法確立と農業経営の安定性や効率性の検証を実施します。
実証実験を経た後、パナソニックはこのノウハウを正式なサービスとして全国に普及させていく予定です。尚、この実証実験は、農林水産省経営局が推進する「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」の補助事業に認定されています。
※1:出典 農林水産省ホームページ
※2:GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、農業において、食品安全、環境保全、労働安全等持続可能性を確保するための生産工程管理に取り組んだ生産者に与えられる認証。
※3:JGAP2016は日本国内向け、ASIAGAPは輸出向けの農作物に適応される基準。どちらも運営主体は日本GAP協会。
【実証実験の内容】
■目的:残留農薬データベースと連携した農作物の栽培手法の確立とGAP取得促進による農業経営の安定性や効率性の検証を行い、2019年1兆円農林水産物・食品の輸出に貢献する。
■期間:2017年8月26日~2020年3月(予定)
■各組織役割:
パナソニック:双方向クラウド型農業管理システムの輸出対応システム開発・提供
CTC:海外残留農薬値データベースの構築
野菜プラネット:GAP取得支援映像コンテンツ制作
横江ファーム、開発営農組合:輸出向け農作物の栽培
JAおうみ冨士:輸出向け農作物の栽培指導、GAP取得サポート
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