中東の農業政策・植物工場ビジネスの可能性

カタールにおける農業政策・植物工場の動向について

 かつては三菱化学などが40フィートコンテナの植物工場を納入したニュースで注目が集まったカタール。同国は他の中東諸国より、ハイテク農業による自国内の食糧生産に力を入れようとしており、「カタール国家食糧安全保障計画」では、自国の土地4万5000ヘクタールを農地に変える計画を発表した。

カタールの食料自給率は10%

 国土のうち耕作面積は1.6%に過ぎず、GDPに占める農業の比率となると0.1%である。2010年の食糧輸入額は13億ドルを記録している。GCC諸国全体の食糧輸入額は258億ドル。
※ GCC諸国とは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、バーレーン、オマーンの6カ国を示す。


三菱化学など、太陽光パネル・蓄電池を導入したコンテナ型植物工場がカタールへ(2010年1月18日)
カタール国内の食糧安全保障計画、4万5千haの土地を農地へ(2011年9月27日)

ハイテク植物工場は非常に少ないが、政治的理由により拡大する可能性も

 カタールの農業生産について、一部では施設園芸も稼働しているが、ハイテク植物工場のような施設栽培は、ほとんど行われていない。

2017年6月5日、カタールに対して、サウジアラビア、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトの4か国が国交を断絶し、イエメン、モルディブなどがこれに続いた。

現在は落ち着いているが、スーパーの食料品が一気に売り切れになる現象も発生しており、現在の状況が続く場合、カタール国内での農業生産を行う必要性がますます強くなることが予想される。

カタールの農業統計。生鮮野菜1万7千トンを輸入、国内農業人口は3,000名(2010年1月24日)

サウジにおける農業政策・植物工場の動向について

 サウジアラビアでも米国企業が人工光型植物工場システムを稼働させているが、太陽光も含め植物工場に関する事例は非常に少ない。

同国では国内農業より、海外農地の取得・確保に力を入れており、かつて自給率100%を達成していた小麦についても、全て輸入(海外農地での生産も含む)に切り替える計画を発表している。

サウジアラビアでは食料より水資源の確保が緊急の課題となっているようだ。農業だけでなく、畜産も含む加工食品の製造でも大量の水を使用するため、海外輸出用の製造ラインを禁止する計画もある。

サウジ、セネガルの40ha巨大農地リース交渉を開始。穀物の輸入依存から脱却へ
サウジ、水資源確保のために小麦自給縮小。輸出向け食品の製造も禁止へ(2010年2月18日)
サウジ、セネガルの40ha巨大農地リース交渉を開始。穀物の輸入依存から脱却へ(2010年12月15日)
サウジアラビア、中国の影響を受け青果物の調達価格30%以上の高騰(2012年11月2日)