富士経済、植物工場に関する市場調査結果を発表。2016年は前年比4.1%増の590億円に

 株式会社富士経済が、植物工場及び施設栽培において導入される資機材やシステム、サービスの市場を調査し、その結果を報告書「アグリビジネスの現状と将来展望 2017」にまとめた。

 この報告書では養液栽培関連プラント4品目、養液・施設栽培関連装置・機器・資材6品目、栽培関連IT・ネットワーク技術4品目の国内市場(一部日系企業の海外実績を含む)を調査・分析した。また栽培ビジネスを行う民間企業の事業実態を明らかにするとともに、注目企業の動きや現状の市場実態を踏まえながら今後のアグリビジネスの可能性を検証した。

 なお、生産から加工、販売までの一連のバリューチェーンについては「フードバリューチェーン関連市場の現状と将来展望 2017」で徹底分析しており、六次産業化や農産物の品質向上に寄与する機器やシステムの市場、参入する事業者のビジネス事例をまとめている。

調査結果の概要

■アグリビジネス関連市場(2016年は590億円)

富士経済、植物工場及び施設栽培において導入される資機材やシステム・サービスの市場調査結果を発表
 養液栽培関連プラント及び養液・施設栽培関連装置・機器・資機材の市場については、民間企業の農業分野への新規参入や農業施設の大規模化といった要因により拡大した。また、栽培関連IT・ネットワーク技術市場については、施設環境制御・モニタリングニーズの高まりを受け急拡大している。

 こうした背景によりアグリビジネス関連の2016年の市場は、前年比4.1%増の590億円となった。一方で、燃料価格の低下及び電気代値上げなどの影響で、施設栽培向けのヒートポンプ市場が縮小傾向にあること、また関東地方での雪害に伴う復興需要が一巡したことによる施設栽培関連機器の需要減など、市場拡大を阻む要因もみられた。

■完全人工光型植物工場(2016年は49億円)

富士経済、植物工場及び施設栽培において導入される資機材やシステムの市場調査結果を発表
 完全人工光型植物工場は、食に対する安全・安心を求める消費者の増加や、近年の天候不順による露地野菜の価 格や供給量の乱高下などを背景に注目度が高まっている。近年小規模プラント導入から期間を経たユーザーが事業 の本格化へ向けて大規模プラントを導入するといったステップアップ式のプラント導入が増加している。

 今後は、 こうした小規模プラントからの切り替えによる大型案件需要の増加や、大規模プラント導入に意欲的な民間企業が 栽培事業への参入を活発化させることで市場の拡大が期待される。

■植物育成用光源(2016年は21億円)

富士経済、植物工場及び施設栽培において導入される資機材やシステムの市場調査結果を発表
 植物育成用光源の2016年の市場は、21億円となった。各種光源からLEDランプへの置き換えが進むとみられ、今後はLEDランプが主要光源として市場を拡大させると予想される。

 また、LEDランプは完全人工光型植物工場の主光源 という従来の主要用途に加えて、太陽光利用型植物工場の補光用ランプとして採用検討が進んでいる。さらに、育苗施設のように厳重な生育環境整備が要求される分野においてもLEDランプ需要の増加が期待される。

■環境制御装置(2016年は19億円)

富士経済、植物工場及び施設栽培において導入される資機材やシステムの市場調査結果を発表
 環境制御装置は、「複合環境制御装置」「単機能環境制御装置」に大別される。 2016年の市場は、単機能環境制御装置が、東日本での復興需要及び関東圏での雪害復旧需要が一巡したことにより施設の新設案件が減少したため、伸び悩んだ。

一方、複合環境制御装置は政府主導の補助金事業による大型 施設整備や大規模農業法人による農業施設の集約・大規模化が進んだことで施設における環境制御ニーズが高まり、 需要が大幅に増加した。

 また、一般農家と比べて資金力があり、高度な環境制御を要求する民間企業の栽培事業への新規参入が増加していることを受けて市場は、前年比11.8%増の19億円となった。今後は、民間企業の農業への新規参入や有力農業法人による施設の大規模化といった動きが盛んに行われるとみられ、市場拡大が期待される。

 今後しばらくは、民間企業による栽培ビジネスへの新規参入や農家の法人化に伴う大型施設導入案件が増加し、付随するIT・ネットワーク技術も高度化していくと考えられるため、市場は拡大していくとみられる。

 国内農業は、一般の農業従事者の高齢化に伴い耕作放棄地の増加が今後予想されるが、国策としてこれらの農地をいかに有効利用し、効率的な農業生産システムの仕組みを作り上げていくかが、今後のアグリビジネス関連市場拡大のポイントになると考えられる。

アグリビジネスの現状と将来展望 2017
詳細URL:https://www.fuji-keizai.co.jp/report/index/141611852.html