(4月)アグリビジネス研究会の報告<植物工場の現場から経営戦略まで>

4月15日に開催されました「アグリジビジネス研究会」について簡単な報告をいたします。今回は前半が弊社による発表(植物工場・水耕栽培野菜の全国的な販売・流通戦略)、後半はキューピーの技術をもとに、独自技術を開発して「植物工場レタスの生産・販売事業」にチャレンジしている(株)野菜工房:代表取締役副社長の周藤様の講演会を行いました。

 

  • 研究会の発表内容
    今回の研究会には28名が参加されました。前半では、植物工場にて野菜を生産・販売する企業の収支に関する現状/稼働率/具体的な販路や今後の事業拡大のためのヒントなどを発表させて頂きました。
     
    アグリビジネス研究会4月
     
    主に日本で発展・普及した完全人工型・植物工場に対して、最近は海外企業からの注目も集まっており、台湾の世界最大EMS(電子機器の受託製造サービス)企業である、鴻海精密工業(ホンハイ・プレシジョン)もLED型植物工場を建設する計画のようである。先日も「第20回ファインテック・ジャパン」に大成建設とスタンレー電気が共同開発した「小型・植物工場」が展示されていたが(関連プレス)、台湾や韓国企業からの質問・対応に追われていた
     
    台湾や韓国からの注目を集めている「植物工場」
    大成建設・スタンレー電気の共同開発「小型・植物工場」(400万円ほど)

     
    国内の稼働工場において、太陽光利用型/完全人工型ともに、植物工場で野菜の生産・販売している企業の多くは赤字か収支均衡であり、大幅に黒字化している企業は一社もない。そもそも販売している商品が野菜であり、単価が低いこと(高くてもレタス1株300円くらい)、どの企業も販売先の開拓には苦労している状況であり、プラント販売や工場野菜の販路として海外を視野に入れることも必要なのかもしれない。
     
    特に売上高でいうと1億円以上となると、必ず全国的な販売・流通戦略が必要となってくる。今回の発表では大規模工場を運営している(1)フェアリーエンジェル、(2)スプレッド、(3)JFEライフ の販売先や稼働率・生産規模などを示しながら、どれだけ工場野菜(水耕野菜)の競争が始めっているのかを示した。
     
    競争は露地野菜だけでなく、工場野菜同士でも発生しており、主に太陽光型・植物工場にて「エコ作」ブランドを展開しているJFEライフを例に、30代前後の女性に人気のレストラン( To the herbs )の客側・店/シェフ側の採用メリットや感想などを参考にしながら、今後の販路の可能性・選択肢に関する提案も行ってみた。
     
     
    後半の発表では、(株)野菜工房の代表取締役副社長の周藤氏に発表して頂き、社長の大山氏とともに、会社の設立経緯や同社独自技術や特徴のある野菜について、色々と解説して頂いた。自社ブランド野菜「トリプルA:洗わず、甘い、あんしん野菜(商標登録済み)」確立の背景には、様々な技術的工夫も行っていた(例:野菜の栽培時には使用する硝酸はエグミのもととなるので、こうした硝酸を取り除き、いかに甘い野菜を生産する努力をおこなっているのか)。
     
    野菜工房:トリプルA「洗わず、甘い、あんしん野菜(商標登録済)」
    野菜工房:トリプルA「洗わず、甘い、あんしん野菜(商標登録済)」

     
    また最後には、現在の赤字をどのように黒字化していくのか、そのためのキーワードとして「ソフト面でのアドバイス・コンサルティング事業」を挙げられていた。助成金により工場のハード部分(箱モノ)が次々に建設されているが、どこも栽培ノウハウの蓄積には苦労している現状があり、こうした所に同社の活路を見出そうとしているようだった。個人的には、新しい高付加価値野菜を求めるのではなく、今後も工場レタス栽培に重点を置き、黒字化を目指すというビジョンが、非常に印象的であった。
     
    農水省によると、国内のレタス生産量50万トンに対して、植物工場レタスは0.6%とわずかなシェアである。もちろん工場野菜が露地野菜に全て取って代わることはないが、それでも現在の0.6%(3000トン)から10%(5万トン)にまでシェアを伸ばせれば、同社のレタス栽培に関するノウハウも十分に活用できるかもしれない
     
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