植物工場技術は都市型農業にプラスなのか?(Robert F. Kennedy, Jr. のプレゼン内容を整理)

最近では植物工場(ここでは一部でも人工光を利用した半・完全閉鎖空間での水耕栽培を主に想定)という言葉もメジャーとなり、様々な意見が出てきている。これは非常に良いことで、こうした様々な視点から議論・意見交換を行うことで、この技術をどのように活用すれば、社会還元につながるのか、そのアプローチ方法の活路が少しでも見出せるかもしれない。
 
 
そこで、上記のテーマに関連した内容を、全米市長会議にてRobert F. Kennedy, Jr. 氏がプレゼンしていたので、その内容を簡単にまとめておく。
 
 
まず、Robert F. Kennedy, Jr. 氏(以下、彼)は、植物工場システムを利用することで、都市型農業を経済的にも実行可能なものに押し上げ、環境保護にもつながる、といった主張を行っている。
 
 
中でもカナダ・アメリカ、EUにも展開するValcent Products 社を一例に挙げており、この企業も多段式の植物工場技術によって、藻やレタスなどを栽培している会社で、最近ではアブダビ(UAE)のマスダールシティ(関連記事)にも納入が決定している(詳細は後日、掲載する)。
 

 
彼のプレゼンの一部を整理すると、そのメリット、デメリットは以下のようなもの

    メリット

  • 廃棄物や水を繰り返し再利用することができる
  • 伝統的な農業によってダメージを受けた農地を復活させることも可能
  • 見捨てられた都市財産(空きスペースなど)を有効活用できる
  • 糖尿病や肥満などに対して有効なタンパクや栄養素を高めることが可能で、都市部のライフスタイルで多発する慢性的な病気の助けにもなる
    デメリット

  • 技術革新が起こり導入・維持コストが飛躍的に下がれば、商業的にも様々な企業が参入する。その結果、人口が密集した省スペースしかない都市部の不動産価格が高騰する可能性がある

 
彼は上記のデメリットに対して、自動車で有名なデトロイトといった都市を挙げ、こうした食料自給(都市型農業)を見捨てた都市であっても、既存の建物や倉庫といった場所で野菜や果物が栽培できる植物工場技術が導入されれば明るい未来がある、と説明している。
 
 
またデトロイトは、貧困や失業率が高いことでも有名な都市であり、都市型農業ビジネスが普及することで、雇用の創出や温室効果ガス対策、自動車などの製造工場で破壊された周辺環境にもプラスの影響が出ることを示唆している
 
 
その他について、また別の機会に掲載する。皆様は、どのように考えますか?『植物工場技術は都市型農業にプラスなのか?』
 
 
※ 参考資料: January 26, 2010 「Robert Kennedy Jr. Presents Verticrop At Us Mayor’s Conference」等
 
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

大和ハウス工業 アグリキューブ 植物工場バナー
次世代農業EXPO 植物工場バナー
昭和電工 植物工場 バナー
植物工場ビジネス・セミナー講義バナー
    ミラノ万博レポート「食と農業の未来」

過去のピックアップ記事

  1. ファミマのサンドイッチ・サラダ、植物工場野菜への試験的な変更
     株式会社ファミリーマートでは、国内の植物工場で栽培された野菜を、サンドイッチやサラダなどの中食商品…
  2. 1万カ所以上もあるキューバの有機都市型農業、大きなビジネスチャンスとして狙う米国の農業資材メーカー
     キューバと米国による国交正常化に関する交渉開始のニュースが広がっている中で農業ビジネスにおける交流…
  3. 露地野菜の価格高騰により植物工場野菜の価格が逆転
     国内では最近の長雨・猛暑により、レタス等の葉物野菜の価格が2~4割も高騰している。今年は4月から5…
  4. フィリピンの田んぼアート。ドローン・アグロツーリズムによる若者世代への新たなアプローチ
     フィリピンのお米研究所(Philippine Rice Research Institute)の「…
  5. 国内最大規模の植物工場施設の運営とライセンス事業を開始
     株式会社フェアリーエンジェルは、福井県美浜町に日本政策投資銀行から10億円の融資を受けて、大規模な…
  6. 大規模量産化による植物工場野菜の低価格化
     植物工場によるレタス生産について、大きな初期投資やランニングコストから、露地野菜より2~3割ほど販…
  7. ライアソン大学による都市型・屋上ファームが1周年の収穫祭を開催
     カナダのトロントにあるライアソン大学の屋上ファームでは、1周年の収穫祭と農場ツアーが実施された。同…
  8. みらい、フルLED光源を採用した量産型植物工場が宮城県内に完成
     植物工場装置と野菜販売の株式会社みらいは、みやぎ復興パーク(宮城県多賀城市)内に経済産業省の補助事…
  9. JR東日本グループ、太陽光利用型植物工場トマトを様々なメニューで採用。六次産業化による地域活性化も
     JR東日本グループでは、農業を通じたものづくりの一環として、太陽光利用型植物工場を運営する「JRと…
  10. lettuce_nara8
     東京電力・福島第一原発の事故の影響で食の安全への関心が高まる中、完全人工光型植物工場にて4種類のレ…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. カナダの藻類ベンチャー、閉鎖型・植物工場とアクアポニクスの融合設備にてスーパーフードを生産
     カナダ・リッチモンドの藻類ベンチャーであるアルジブルーム・インターナショナル社は、1年前にスピルリ…
  2. 自然の木をイメージした垂直農場 植物工場や様々なクリーンテクノロジーを導入
    都市部における過剰な人口増加が引き起こす2つの問題は、限られた土地・空間の中での生産性向上をはかりな…
  3. 住友電工、千葉大学と共同にて砂栽培・環境制御による高糖度トマトの収量増大を目指す
     住友電気工業株式会社と千葉大学は、住友電工がこれまで研究開発を進めてきた砂栽培技術と、千葉大の先端…
  4. 大林組、植物工場ベンチャーのスプレッドと提携。日産3万株の大規模施設を検討
     株式会社スプレッドは同社が開発した完全人工光型植物工場”Vegetable Factory(TM)…
ページ上部へ戻る