複雑な統計データを分かりやすくビジュアル化「データで見る5年間 日本の農業のオモテウラ」

 ウイングアーク1st株式会社が運営するウェブメディア『データのじかん』は、データ活用の面白さを多くの方に感じていただくことを目的に、複雑なデータを整理して、分かりやすいビジュアルで表現するデザイン手法“インフォグラフィック”を用いて『データで見る5年間 日本の農業のオモテウラ』を公開した。

「データのじかん(ウイングアーク1st)」
URL: https://data.wingarc.com/infograph-agriculture-3686

■背景
人手不足や高齢化による「日本の農業の未来」が危惧される一方で、農業に新たに参加する人の数は近年増加傾向にあり、小売チェーンや私鉄、銀行などの他業界企業が農業ビジネスに参入しています。このように、日本の農業の現況は、一部のデータだけで捉えることはできません。

そこで『データのじかん』は、データで物事を多面的に解釈する重要性を伝えるため、日本の農業にまつわる様々なオープンデータをインフォグラフィックにまとめ、公開しました。

■インフォグラフィック解説(1)—農業人口

農林水産省の発表データによると、日本の農業人口は減少し続けています。しかし、新たに農業に参加する「新規就農者数」は近年増加傾向にあります。

その理由の一つとして挙げられているのは、法人等の組織経営体の増加です。平成21年に農地法が改正されてから2,222の法人が新しく農業に参入しています。[平成28年6月末現在(※4)]

■インフォグラフィック解説(2)—農業就業者の年齢と耕地面積

農業従事者の「高齢化」も深刻な問題です。平成27年の農業就業者の平均年齢は67歳と、平成23年に比べ1.1歳高くなっています。一方で、農家世帯員である「新規自営農業就農者(※1)」と、土地や資金を独自に調達し新たに農業経営を開始した「新規参入者(※3)」のうち49歳以下の割合は、5年前と比べてそれぞれ+10.6%、+25.6%と増えており、全体的に若い新規就農者が増えている傾向にあります。

耕地面積については、平成23年に比べ縮小していますが、一経営体当たりの耕地面積は拡大していることから、農業の大規模化が進んでいることが分かります。

※1 農家世帯員で、調査期日前1年間の生活の主な状態が、「学生」から「自営農業への従事が主」になった者及び「他に雇われて勤務が主」から「自営農業への従事が主」になった者をいう。

※2 新たに法人等に常雇い(年間7か月以上)として雇用されることにより、農業に従事することとなった者(外国人研修生及び外国人技能実習生並びに雇用される直前の就業状態が農業従事者であった場合を除く。)をいう。

※3 土地や資金を独自に調達(相続・贈与等により親の農地を譲り受けた場合を除く。)し、新たに農業経営を開始した経営の責任者及び共同経営者をいう。
農林水産省統計部「新規就農者調査」より( http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html )

※4 農林水産省発表データより( http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/kigyou_sannyu.html )

■インフォグラフィック解説(3)—農業のIT化

いままでの農業は人の力に頼る要素が大きく、ベテランの勘や経験に基づいた技術や知識の共有が困難でした。そのため、農業は新規参入へのハードルが高いと考えられていました。

しかし現在、農林水産省によりスマート農業化が推進されていることや、作業の自動化、暗黙知の見える化、農地環境や作業内容のデータ化など、業務を効率的に進める上での経営判断を、データを基に行うという動きが始まっています。また、これらのテクノロジーを活用するためのクラウドサービスを提供する企業も増えています。