ヒルガタワムシ(学名:Bdelloid rotifer)は「逃走の達人」である。主に淡水に生息する無性生殖・無脊椎微生物であり、線虫類など、その他の生殖行為をしない生物の場合、数十万年で絶滅するとされているが、ワムシだけは3000万~5000万年生き延びている「動物界で唯一の古代無性生殖生物」である。

なぜ、こんなにも長く生き延びることができているのだろうか?その理由は「乾燥に強いという特技を生かして、敵やライバルからひたすら逃げること」
ワムシはその他の寄生生物の脅威にさらされると、自ら干乾し状態になり、風に吹き飛ばされることで身を守るのである。完全に乾燥された期間が長ければ長いほど、敵の寄生生物は死滅してしまい、自分は水なしでも生き延びることができる。
このように自分に危険が訪れると、乾燥した状態で、時には何千キロもの距離を風に漂いながら、ひたすら逃げるのである。そして、淡水の水一滴でもあれば、復活することができるという素晴らしい能力の持ち主である。
その他の生物が厳しい環境を生き抜くために、生殖活動を通して必死で多様なDNAの持つ子孫を残そうと頑張っている中、ごく小さなワムシという微生物は、生殖も行わずに「ただ、ひたすら逃げる」ことで、5000万年にもわたって繁栄を謳歌できたという。
※ 参考資料:「Science」(2010.1.29発行)、翻訳記事はこちら
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