総合マーケティングの株式会社総合プランニングは、「植物工場(植物の工業的栽培市場)」に関する調査を実施した。
調査対象は『養液栽培システム』『栽培プラント』『関連資材』『農業ICT機器・サービス』の4分野に加え『工業的栽培事例(栽培事業者事例)』(53件)と『植物工場野菜を販売・利用している小売店・飲食店事例』(43件)を含めたもので、その調査結果を「2016年 植物の工業的栽培市場の現状と将来動向」として資料にまとめた。
<調査結果の概要>
植物工場ビジネスに関連する「養液栽培システム」「栽培プラント」「関連資材」「農業ICT機器・サービス」の各市場は伸長率に差異はあるが、いずれも2015年から2020年にかけて市場規模は拡大すると予測される。
これまでの調査と同様に栽培事業者の採算性については事業全体で見た場合、赤字と回答する割合が63%となっている。これは前回調査と比較すると6%増加しており、依然として厳しい状況にある栽培事業者が多い。
但し、この中には1~2年内に栽培を始めた事業者や試験期間中の事業者も含まれている。また、黒字と回答した栽培事業者の割合は前回調査時から1%増加していることから、±0と回答した栽培事業者の割合が減少している。
個々の栽培事業者は赤字幅の減少や黒字化に向けて、栽培技術の向上や光熱費削減といった課題に取り組んでおり、栽培品目や栽培環境に応じた解決策を模索している。
◇養液栽培システム市場
市場規模 2015年実績:87億円 → 2020年推定:117.5億円(伸長率135.1%)
調査対象は「たん液栽培」「NFT栽培」「固形培地栽培」であり、いずれも水耕栽培(養液栽培)では代表的な栽培方法である。
・たん液栽培システム 2015年実績 23.5億円 / 2020年推定 35億円(伸長率148.9%)
・NFT栽培システム 2015年実績 37億円 / 2020年推定 50億円(伸長率135.1%)
・固形培地栽培システム 2015年実績 26.5億円 / 2020年推定 32.5億円(伸長率122.6%)
「たん液栽培システム」は国内で開発された栽培方法で歴史が古く、ドーム型のプラントや栽培ベッドの軽量化による多段式のプラントなど更なる進歩を遂げている。「NFT栽培システム」は設備が簡略化出来、軽量化による多段化や高設化が可能なことから、完全人工光型植物工場を中心に導入が進んでいる。
「固形培地栽培システム」は大規模施設園芸の増加や栽培品目に合った固形培地及び栽培システムの開発が進むことで今後の市場規模拡大が期待される。
◇栽培プラント市場
市場規模 2015年実績:101.6億円 → 2020年推定:128億円(伸長率126.0%)
調査対象は「完全人工光型植物工場」「太陽光利用型植物工場」「コンパクト型植物工場(店頭栽培用、家庭用)」「育苗型植物工場」である。
・完全人工光型 2015年実績 48億円 / 2020年推定 55億円(伸長率114.6%)
・太陽光利用型 2015年実績 45億円 / 2020年推定 60億円(伸長率133.3%)
・コンパクト型 2015年実績 4.1億円 / 2020年推定 6億円(伸長率146.3%)
・育苗型 2015年実績 4.5億円 / 2020年推定 7億円(伸長率155.6%)
「完全人工光型植物工場」は依然として電気料金という課題を抱えているが、建設地の規制緩和策もあり、導入件数の増加が期待される。
「太陽光利用型(併用型)植物工場」は施設園芸の一種であり、農地を必要とするが、高収量化を目指す大規模施設園芸を促進する動きが加速することで市場規模拡大が期待される。
「コンパクト型植物工場」は研究用や試験用のほか、店頭ディスプレイ、福祉施設での導入、家庭用など販路の多様さが市場拡大を後押しすることとなる。「育苗型植物工場」は水耕栽培(養液栽培)の栽培品目の拡大が期待される中で、これに合わせて育苗型植物工場の技術開発も進められることから、同市場規模の拡大が期待される。
詳細情報
資料タイトル「2016年 植物の工業的栽培市場の現状と将来動向」
http://www.sogop.co.jp/sales/archives/2016/02/2016.html
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