水不足のカリフォルニア州、水耕技術による新たな都市型CSA農業モデルを実践

 昨年(2015年)の米国・カリフォルニア州における水不足は深刻な状況であった。同州では水不足の状態が4年目となり、州全域を対象にした節水も義務化された。こうした水不足により農業分野にも大きな被害が出ており、カリフォルニア州が生産の大部分を占める農作物については、国内だけでなく世界市場にも影響を与えた。

例えばカリフォルニア州が世界シェアの8割を占めるアーモンドは今年の夏、国際価格が過去最高値となった。

その他の主力品目であるオレンジやレモンといった果樹・かんきつ類も大きく国際価格が変動し、アーモンド以外のクルミやカシューナッツといった品目についても価格が高騰したことで、米国以外の国に生産拠点を移行するような動きも出ている。

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水不足により野菜の定期宅配ストップ。
水の節約と周年生産技術の必要性が拡大

 水不足によって、カリフォルニア現地では新鮮な生鮮野菜が手に入りにくい状況が続いたため、新たな事業モデルや生産方式を導入する農場も増えている。

例えば、カリフォルニア州南部の港湾都市であるロングビーチ(ロサンゼルスの約30kmに位置)にて、都市型農業を運営するグローイング エクスペリエンス社では、新たにアクアポニクスを2015年の4月に設置して、葉野菜と魚の生産をスタートさせた。

同団体はロサンゼルス群のhousing authority住宅管理局が運営している公的機関であり、農場は2009年にオープンし、現在は7エーカー(約2.8ha)の農場を運営している。

※ 同社ではCSA(地域支援型農業)を通じて野菜の定期宅配や周辺のファーマーズマーケットにて販売している。

その他にも低所得者向けに行われている食料費補助対策として配布されるフードスタンプと野菜セットを交換するなど、地域住民やローカルを大切にしながら、子供たちへの食育や科学教育に関するプログラムも実施している。