インロコ、小規模植物工場・地産地消モデルでの黒字化へ

植物工場テクノロジーを集約・実証拠点を構築

 同社では、小規模施設による黒字化ノウハウを活用して、イオンに究極の”店産店消”モデルの植物工場を導入するなど、設備販売・導入事例を増やしつつあるが、同社が目指す植物工場ビジネスは始まったばかりである。

現在の人工光型において、ごく限られた果菜類(イチゴなど)を除き、事業採算性が成立する可能性のある作物は葉野菜類に限定されている。

究極の地産地消や都市部での安定した食料供給モデルを実現するためには、葉野菜だけでなく、イチゴやトマトといった果菜類や果物など幅広い食材を生産していく必要がある。

その他、消費者の中には追加的なコストを支払い、有機食品や環境に優しい商品(例えばフードマイレージ・ゼロ商品)を求める人々も存在している。都市部だけでなく、インフラが整っていない離島などに設置する際には、安定した電力供給という問題もあるだろう。

そこで同社では、上記のような課題を解決し、幅広い作物生産や消費者の要望に応えるため、以下のような食料生産技術の実証施設を2016年にオープンした。40フィートコンテナを4台設置し、各コンテナにて異なる作物や生産技術を導入した実証を行っている。

インロコ、イチゴ植物工場・アクアポニクスなどの食料生産技術の実証施設をオープン

① 人工光型植物工場・アクアポニクス融合システム

人工光型栽培と魚の養殖について、それぞれに関しては高い技術力を保有している日本だが、両方を融合したアクアポニクス設備の開発は進んでいない。

商業ベースとして稼働している事例はゼロに等しいが、海外では大型アクアポニクス施設も多く、一部の企業では人工光型システムと融合させ、オーガニック認証を取得した葉野菜を生産・販売する事例もある。

同社においてもティラピアをはじめ、アユなど日本でも食されている魚の飼育を計画しており、魚の有機由来の廃棄物を葉野菜の水耕栽培に利用し、よりサステナブルな生産技術の確立を目指していく、という。

② 太陽光利用型植物工場(トマトの栽培など)

技術的には可能であっても採算性を考慮すると、人工光栽培では葉野菜に限定されている現状において、果菜類や根菜類などを生産するためには太陽光が必要となる。

簡易的な高設ベッド栽培によるトマトをはじめ、タマネギ、ブロッコリー、アスパラなど様々な野菜の栽培を計画している。

日照時間としては少ないものの、高温多湿・光量の強い季節が多い沖縄にて実証することで、将来的には大きなマーケットが見込まれる東南アジア市場への事業展開も検討していく。

※ (左)人工光型植物工場・アクアポニクス融合システム / (右)太陽光利用型のコンテナ生産システム
インロコ、小規模植物工場・地産地消モデルでの黒字化へ
※ アクアポニクスは、魚の養殖「アクアカルチャー(Aquaculture)」と水耕栽培「ハイドロポニクス(Hydroponics)」を融合させたもの。詳細記事: 魚の養殖と野菜の水耕栽培を融合したアクアポニクスについて