アスタキサンチンの市場規模400億円、植物工場・環境制御による藻類培養技術の開発も

 ここ4年で、カロテノイド関連商品市場は大きく変化している。多くの商品の市場価格が下がる一方で、いくつかの商品は上昇している。BBCリサーチによると、カロテノイド類のアスタキサンチン市場が大きく拡大し、各国で技術革新が進んでいる、という。

天然由来のカロテノイドは、藻類をはじめとする植物由来の細胞からの抽出または発酵技術を利用することで生産できるが、化学合成によっても作り出すことができる。

現在、主に天然着色料や化粧品、サプリメント原料として利用されている。数百種類のカロテノイドが存在すると推測されているが、その中で商業的に成功して生産されているものはわずか10種類である。

2014年時点のカロテノイド全体の市場規模は約15億ドル、2019年には18億ドルになると予想されている。カロテノイドの中のアスタキサンチンの市場規模は、2014年時点で3億6900万USドルである。

アスタキサンチンの市場規模400億円、植物工場・環境制御による藻類培養技術の開発も
アスタキサンチンの生産技術も向上している。BCCリサーチのアナリストであるUlrich Marz氏は「天然由来のアスタキサンチン市場の成長率は高く、生産が需要に追い付いていない。結果として価格が高騰している状態にある。

生産性を上げるため、光の少ない環境でもアスタキサンチンを生成するようデザインされた微生物の活用や、植物工場・環境制御技術を活用したチューブ型の光バイオリアクターによる藻類培養システムの開発など、過去に見られなかった様々なイノベーションが起こりつつある」としている。

カロテノイド商品市場には多くの企業が参入しているが、現状は数社による独占市場となっている。しかし、上述したような新技術の発展により、アメリカ、台湾、デンマーク、マレーシアなどの企業が、本市場への参入・研究開発を行っており、今後も生産技術の向上によってカロテノイド全体やアスタキサンチン市場の拡大が見込まれている。