三菱樹脂が薬用向け甘草の量産技術を確立。人工光型植物工場による苗生産設備を利用

 三菱樹脂は7月15日、完全人工光型植物工場による甘草(カンゾウ)の苗生産、露地による国内栽培技術を確立したと発表した。薬用植物は、甘草(カンゾウ)やシャクヤク、ウコン、桂皮などを中心に漢方薬や健康食品、化粧品などに利用されているが、その供給は中国などからの輸入に頼っている。

また、ほとんどの薬用植物は野生品の採取であり、乱獲も問題となっていることから、国内での安定確保できる体制づくりが急務とされていた。


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三菱樹脂はグリーンイノベーションと共同で、人工光閉鎖型・苗生産性設備での甘草苗の生産、および畑での甘草栽培の適地見極めと栽培技術の確立、優良株の選抜・増殖技術を開発。

6年にわたる試験栽培と実証栽培ののち、第16改正日本薬局方基準(グリチルリチン酸含量2.5%以上)を満たす収穫(全収穫物平均2.8%含有)を上げることに成功した。

三菱樹脂が薬用向け甘草の量産技術を確立。人工光型植物工場による苗生産設備を利用三菱樹脂が薬用向け甘草の量産技術を確立。人工光型植物工場による苗生産設備を利用

人工光型植物工場による甘草の苗生産と圃場(露地)での栽培の様子


実証内容
1)畑作に適した甘草苗の生産条件の確立
・人工光閉鎖型苗生産設備での甘草苗生産最適条件の確立

2)畑作での甘草栽培技術の確立
・全国各地での実証栽培を通じての栽培適地の見極めと、定植前作業、施肥条件、複数年にわたる栽培管理技術、収穫作業の機械化、収穫物の切断・乾燥技術などの確立

3)優良株の選抜と増殖技術の確立
・実証栽培の中で選抜された優良株、病気に強い株などを、人工光閉鎖型・苗生産設備の養生機能(人工的に高湿度を保たれた空間で、効率的な養生を行う機能)を活用して大量増殖させる方法や、増殖株による再選抜の繰り返し