丸紅、人工土壌を利用した植物工場のショールームを開設

 丸紅では、大阪支社の地下2階にて、人工土壌を利用した植物工場のショールームを1月17日に開設した。約150m2の栽培室には、LEDと蛍光灯の両方にて比較試験が行われている。

一般的に植物工場では水耕栽培が採用されているが、今回は特殊な人工土耕による植物工場システムとなる。現在は葉野菜の他、天王寺カブラや大阪シロナ、金時ニンジンなどの大阪の伝統野菜「なにわ野菜」の試験栽培も行っている。

こうした伝統的な「なにわ野菜」は、虫に弱くデリケートな作物で、生で食するには不向きであったが、植物工場(土耕栽培)により、無農薬かつ、柔らかい野菜を栽培することで、生野菜サラダとして周辺の飲食店に試験栽培を目指している。

丸紅、人工土壌を利用した植物工場のショールームを開設
土壌栽培のメリットは、水耕栽培では難しい根菜類が栽培できる点である。今回、使用されている特殊な人工土壌は、ベンチャー企業「ヴェルデ」が開発したヴェルデナイト(商品名)を採用した。

この他、工場を運営するために、有害な細菌を抑える微生物剤(丸紅)、作業時のスチール棚の移動や照明の操作は、オートメーション設備大手のダイフクの技術を利用している。


 ヴェルデナイトは、保水力の高いピートモス(ミズゴケの一種)を利用しており、ピートモスは完全に乾燥してしまうと使用できなくなるため、吸着効果を持つ(水分や栄養分を維持できる)モンモリロナイト(粘土鉱物のひとつ)をコーティングすることで乾燥を防いでいる。

モンモリロナイトは、油脂分を吸着する性質を持つので、洗顔料やシャンプーにも使用されているものである。

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