静岡大学・アグリビジネス研究所、低コスト小型ポット栽培によるトマトの高収量栽培を実現

静岡大学農学部の糠谷明教授らは、小型のポットに植えたトマトの苗に対して、自動的に肥料や水を与えることで、低コストかつ糖度の高いトマトを栽培する独自の技術開発を行っている。本栽培方法により、通常のビニールハウス栽培より、収穫量を2倍に増やすことも可能である。


トマトの丈は通常の半分ほどの1mの高さまで成長し、10アール当たりの株数は4500株ほど、収穫量は年間で30〜40トン前後となっている。栽培にはD型の小型ポットを連結したトレイを使用し、250mlほどの小さな栽培ポットの中に、1日40〜50回、1回当たり30ミリリットルの肥料を含む養液を自動で与えている、という。小型であるメリットは、土の水分状態などの管理も簡単にできることである。


D型栽培トレイ、日照量を計測して養液量を自動調節するシステム機器など内部装置のみで10アール規模あたり300万円ほどが必要となる。静岡大学が新設したビニールハウスでも本技術の実証栽培が行われており、ハウスまで含めた初期投資額は10aあたり1300万円程度で、一般的な太陽光利用型植物工場の10分の1以下で稼働させることができる。


実証施設にて栽培したトマトは「静大トマト」として11月下旬から県内の総菜業者に1キロ250円で販売する計画。平成20年における青果市場での卸売価格でキロ当たり272円、全国の主要都市における野菜の小売価格の場合、有機栽培でない通常の国産トマトはキロ当たり597円となっており、価格的にもリーズナブルな設定であるといえる。


糠谷明教授らは、株式会社静岡アグリビジネス研究所を設立し、企業へ技術指導や栽培システムの販売も行っており、金型メーカーの斉久精機(静岡)では、県内で農地を借りて2010年度から実際にトマトのハウス栽培を開始する、という。

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