野菜茶業研など、在来品種からナスのゲノム解読・品種改良に貢献

 農業・食品産業技術総合研究機構の野菜茶業研究所とかずさDNA研究所のチームが9月19日 ナスの全遺伝情報(ゲノム)を解読し、国際的な科学誌DNAリサーチ電子版に発表した。病害に強く、商品価値の高い実がなる新品種の開発に役立つと期待される。

ナス科では南米原産のトマトやトウガラシ、ジャガイモのゲノムが解読されている。ナスはインド原産で日本では遅くとも奈良時代から栽培されており、研究チームは昔栽培されていた在来品種「中生真黒」を選定。2011年度から染色体12本で計11億2700万塩基対のDNA配列を解読し、約4万2000個の遺伝子を特定した。

 このうち、ナス特有の遺伝子は約7600個と判明。抗酸化作用がある紫色の色素アントシアニンやクロロゲン酸の合成遺伝子のほか、病害抵抗性に関連する遺伝子などが見つかった。トマトなどのゲノムとの比較研究が進めば、ナス科植物の進化過程も明らかになるという。