新たな高温耐性・多収品種として水稲「恋の予感」を開発

 高温による品質低下が問題となっている水稲品種「ヒノヒカリ」の代替として、農研機構近畿中国四国農業研究センター(福山市)が新品種「恋の予感」を開発した。高温でも品質が低下しにくいうえ、ヒノヒカリより多収で、食味も同等で良好という。今年収穫分から初めて試験的に販売する予定で、関係者らは普及に期待を寄せている。

近畿中国四国農業研究センター、新たな高温耐性・多収品種として水稲「恋の予感」を開発

同センターによると、中・四国地方では近年、高温の影響で主力品種のヒノヒカリの1等米比率が低下している。このため「きぬむすめ」に「中国178号」を交配した新品種の育成を進め、今年5月に品種登録出願した。

恋の予感は、ヒノヒカリとほぼ同じ時期に収穫でき、玄米品質はヒノヒカリよりも良好。ヒノヒカリに比べて約8%多収で、食味も高い評価を得ている。こうしたことからヒノヒカリからの品種転換が目指しやすいという。名称はJA全農ひろしまと協力し、公募で選定した。「ひとたび食すると恋するようなときめきや情熱のあるお米となることを願った」としている。

県立総合技術研究所農業技術センター(東広島市)などによると、県内では今年度は約100ヘクタールに作付けしている。ヒノヒカリの品質低下が著しい標高200メートル以下の地域から順次普及を図って作付け面積を拡大し、3年後には全面的な切り替えを目指すとしている。