『2014年版九州経済白書』アグリプレナーが拓く農業新時代を発行(IT、六次化、販売ルートなど多岐に渡る分析を実施)

民間シンクタンク、九州経済調査協会は、農業に着目した平成26年版九州経済白書を発表した。山口・沖縄両県を含む九州地域の平成23年の農業産出額は、1兆7700億円で全国の21%を占める。白書では、農業は九州経済の主要産業であり、高い潜在力を有すると評価した。特に、全国シェア約5割の肉用牛や鶏肉をはじめ、トマトやイチゴ、乾シイタケなどトップシェアの産品は、大きな可能性を秘めると強調した。


白書からは、九州では法人が新たな担い手となっている現状が明白になった。平成25年現在、九州7県の農業生産法人は2345社にのぼり、13年と比較すると2.4倍に増えた。特に鹿児島県(662社)、熊本県(416社)、宮崎県(360社)と南九州で農業生産法人設立が盛んになっている。また、農地を賃借し、農業に参入した企業も148社で、平成22年の7.8倍に膨らんでいる。


こうした法人は、収益性の高い野菜に注目していることが、九州の特徴だという。野菜を取り扱う農業生産法人の比率は全体の28%で、全国平均(21%)を上回る。サラダなどに使うベビーリーフを生産するベンチャー企業の果実堂(熊本県益城町)は、ICT(情報通信技術)を生産や出荷管理に活用する。責任者が収穫量の予測値などを毎日データベース化して収穫カレンダーを作成し、出荷や営業活動と連動させる。こうした取り組みが奏功し、百貨店や大手スーパーを中心に、約150社へ直販している。


このほか、農家や法人の規模拡大や経営安定化に寄与するものとして、生産から加工までを担う6次産業化を挙げた。通常の販売ルートだと廃棄するしかなかった規格外品を活用することで、収益性向上につながるだけでなく、旬以外の季節でも周年販売が可能になり、メリットが大きいからだ。ただ、6次産業化の課題としては、工場設備の初期投資や既存食品加工メーカーとの競争があり、小規模経営者には適さないと指摘した


また、九州経済白書では「農業事業者の収益拡大には事業の多角化も課題」と指摘する。
具体的な多角化の内容(複数回答)を聞くと、冷凍品などにする「軽加工」は、営業損益ベースで黒字事業者の24.1%が手掛けており、赤字事業者(15.9%)を上回る。一方、ジャムなど作業がやや複雑な加工品の製造では赤字事業者の56.8%が手掛け、黒字事業者(44.8%)より多い。九経調は「複雑な加工品は工場などの初期投資がかかるうえ、食品メーカーとの競争も激しく、赤字になりやすい」と分析している。


軽加工や加工品製造では、メーカーなどからプライベートブランド(PB=自主企画)の製造を受注するという選択肢もある。PBは納入価格が安くなりがちだが、一定量の販売を確保できる。このためPBを手掛ける黒字事業者は37.6%と、赤字事業者(26.9%)を上回る。夢かのや(鹿児島県鹿屋市)は野菜を加工してサラダパックとして商品化し、大手小売業などにPBとして納入する。黒字事業者のうち15.5%がレストランを、5.2%が観光農園を手掛けている。野菜を栽培するラピュタファーム(福岡県川崎町)は観光果樹園なども経営し、多角化している、という。

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植物工場・農業ビジネス編集部

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