地球温暖化が進んだ条件下で花が咲く時期や期間を予測する手法を開発 気候変動に対応した農業の支援が可能に(北海道大学など)

植物の開花を制御する2つの遺伝子の働きを調べることで、将来、地球温暖化が進んだ条件下で花が咲く時期や期間を予測する手法を、北海道大の佐竹暁子准教授らのチームが開発し、8月13日付の英科学誌の「Nature Communications」電子版に掲載した。


この研究は農作物の収穫量を左右する開花期間や、自然界の植物の開花状況など生態系がどう変化するかを把握することを目的に行われた。研究を行ったのは、北海道大学の佐竹暁子准教授と京都大学、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)の共同チームである。

研究チームは開花期間を、花芽ができて開花してから、花がしおれて再び葉が成長し始める時点(開花終了)までと定義。ハクサンハタザオの開花を促す「FT遺伝子」と、この遺伝子の働きを抑制し開花を終了させる作用がある「FLC遺伝子」の活動量の変化を異なる温度の下で調査を行った。


研究の結果得たのは以下の三点。

・開花を制御する二つの主要な遺伝子の働きを調べることによって、複雑な野外環境で開化の始まりと終わりを予測する手法を開発
・温暖化に伴い植物の開花期間は短くなり、約5度の温度上昇で開化しなくなるという予測
・地球温暖化が生態系に及ぼす新たなリスクを評価し、重要作物の収量を制御する技術として応用可能


越冬の後、春に開花する植物では、長期間の低温を経験して初めて「花芽(花になる芽のこと)」形成が誘導される。このことは「春化」と呼ばれ、春まきと秋まき小麦の違いに代表されるように古くから知られていた現象である。

しかし近年、春化の分子メカニズムが解明されたことによって、植物の温度応答の仕組みが分子レベルで次々とわかってきたにも関わらず、自然環境で見られる複雑な温度変化の下で植物がどのように季節の移り変わりに応答し適切な時期に開花できるのかは、未解明のままだった。一方で、サクラを含め多くの植物の開花時期は、積算温度の算出といった経験的手法に基づいて予測されており、その分子メカニズムを考慮した予測モデルはなかった。


この実験を基にした予測では、温度上昇に伴いFLC遺伝子の働きが強まり、開花の終了が早まるという。2011年9月から1年間の地表温度だと開花期間は約60日だが、温度上昇とともに短くなり、5度上昇するとゼロとなって開花しない状態になるとしている。


また、この手法は大麦やハクサンハタザオと同じアブラナ科のブロッコリーなどに応用できる。佐竹准教授によれば「温度が上昇した場合、どの栽培品種が十分な開花期間を得られるか、前もって知ることができ、気候変動に対応した農業の支援が可能になる」という。(参考:日本経済新聞ほか、共同調査チームによるプレスリリース,PDFファイルより)