富山市・植物工場による多額の設備・運営コストから薬用植物・甘草の水耕栽培実験を見送り。価格面で中国・海外産に対抗できず

富山市が今年度予定していた薬用植物「カンゾウ」の水耕栽培実証実験が、実施見送りの方向となった栽培施設の設置に多額の費用が必要な上、海外産に対して栽培コストや価格面での優位性が見込めず、ブランド化の計画は暗礁に乗り上げた。薬用植物の地産地消や「薬都富山」を発展させる市の取り組みは、戦略の練り直しを迫られている。
 
 
カンゾウは製薬企業のニーズが高いことから、富山市は今年度、西金屋の試験農場で水耕栽培に着手し、栽培技術体系を確立して新たな地域ブランドに育てる計画だった。ただ、既存施設を水耕栽培向けに改修するには億単位の費用がかかる上、実証栽培段階では国の補助要件に該当しない。植物工場の運営コストがかさみ、仮に事業化に至っても海外産と採算面で優位性が見込めないことから、計画は頓挫した
 
 
漢方薬の原料になる生薬は現在、8割以上が中国からの輸入に依存しており、日本国内の自給率は10%程度にとどまる。一方、中国では乱獲などによってカンゾウなど一部品目で輸出規制が行われ、レアプラント(希少植物)として需給が逼迫しているものもある。
 
 
このため国内の製薬企業などで、過度な中国依存から脱却し、薬用植物を国内で栽培する動きが加速。富山県内では、県薬事研究所が漢方薬の原料となる「シャクヤク」のブランド化に向けた実験栽培を進めている。富山市は『富山の薬』を底上げするためにも、民間事業者の知恵を借り、高い効能が期待でき、価格面でも市場に対抗できる有望品種の選定を急ぎたい」(薬業物産課)としている。(参考:富山新聞より)
 
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

大和ハウス工業 アグリキューブ 植物工場バナー
次世代農業EXPO 植物工場バナー
植物工場設備販売(人工光型)_バナー
    ミラノ万博レポート「食と農業の未来」

過去のピックアップ記事

  1. 2013年度は農業法人の休廃業・解散が拡大 電力高騰や後継者問題も
     帝国データバンクは、2006年度から2013年度の間で、農業法人の休廃業・解散動向に関する調査を実…
  2. LA DITTA、人工光型植物工場のASEAN輸出に向けシンガポール18店舗でテスト販売
     株式会社LA DITTA(ラ・ディッタ)は、シンガポール現地の流通会社EASTERN GREEN …
  3. 中国山東省における近代化されたキノコ植物工場
     中国・山東省高密市に位置する恵和きのこ産業園は、青島農業大学の研究者が開発した技術を活用し、中央と…
  4. 韓国ソウル市の「地産地消型クッキング講座」。屋上ファームと料理教室の融合サービス
    都市部住民をターゲットに「ルッコラ」をテーマにした屋上キッチン教室を開催  ソウルの広興倉駅の近く…
  5. 日清紡による植物工場イチゴ「あぽろべりー」の出荷開始
     完全人工光型植物工場にてイチゴを生産する日清紡ホールディングスが、量産栽培に成功し、近日中の出荷を…
  6. サラダコスモ、工場生産スプラウト・もやし商品が水耕栽培で全国初の有機認証を取得
     工場生産によるスプラウト・発芽野菜メーカーのサラダコスモでは、オーガニック緑豆もやしとオーガニック…
  7. 世界の都市開発に期待される環境志向型アグリビルディングや植物工場
     政府は6月12日、産業競争力会議を開き、成長戦略を決定した。成長戦略は金融緩和、財政出動と並ぶ安倍…
  8. カナダ、ドーム型植物工場・イチゴの垂直式栽培の試験稼働へ
     カナダのメトロバンクーバーにて、ドーム型の温室ハウスを建設し、イチゴの多段式栽培をスタートさせた。…
  9. インロコ、イオンに植物工場を併設。究極の都市型農業・店産店消モデルを推進
    イオン初の店産店消モデル・植物工場を併設 [前記事] のように、(株)インターナショナリー・ローカ…
  10. 水不足のカリフォルニア州にて新たな都市型CSA農業モデルを実践。水耕栽培・アクアポニクスによる新技術導入
     昨年(2015年)の米国・カリフォルニア州における水不足は深刻な状況であった。同州では水不足の状態…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. 伊藤忠商事、廃棄物からバイオ航空燃料を製造する米Solena社へ出資
     伊藤忠商事は、都市ごみ等のバイオマスからバイオ航空燃料等の持続可能バイオ燃料を製造する技術を持つ、…
  2. JFEエンジニアリングなど、オランダ式の太陽光利用型植物工場にてトマト・ベビーリーフの生産へ
     プラント設計・施工大手のJFEエンジニアリングが北海道・苫小牧市の苫小牧東部工業基地(苫東)で建設…
  3. いすゞ自動車、ミドリムシの開発ベンチャーのユーグレナ社と次世代バイオディーゼルの実用化へ
    いすゞ自動車は2014年6月25日、ミドリムシ(微細藻類ユーグレナ)を用いた製品を展開するバイオベン…
  4. 2050年までに25億人以上が新たに都市部住民へ。加速する都市型農業の必要性
     国連レポートによると、世界の70億人の人々の半数以上が、東京やデリー、上海、メキシコシティ、サンパ…
ページ上部へ戻る