食品リサイクル法や再生可能エネルギー買取制度を背景に食品廃棄物・生ゴミから発電事業に取り組むバイオエナジー社

2006年、生ごみから電気をつくる発電事業に国内で初めて成功した企業「バイオエナジー」に対して、スーパーや外食産業などから、廃棄食品の受け入れを求める要望が数多く寄せられている、という。     東京都大田区城南島にあるバイオエナジーの工場には、都内のスーパーから野菜くずや店頭に置けなくなった食品がトラックで運び込まれている。袋ごと粉砕機にかけた後、生ごみをそれ以外のものから選別。微生物のメタン菌がすむ発酵槽に送り、メタンガスと二酸化炭素に分解する。メタンガスは発電機を動かすのに使われるほか、不純物を取り除いて、東京ガスに都市ガスとして提供。原価相当の費用だけ負担してもらっている。     毎日50万人分の廃棄食品を処理し、2400世帯分の電気と、2000世帯分の都市ガスを生み出している。電気の半量を工場で使用し、もう半分は、1キロワット時当たり10円程度で電力会社に売っている。     06年、工場が稼働した当初は、メタン菌の働きを制御するノウハウがなく、都会の高カロリーな生ごみからは予想を大幅に上回るガスが発生。処理に困り、ガスを燃やしていた。生き物が相手のため、予期せぬトラブルも多発。研究を重ね、「やっと菌のご機嫌を取れるようになった」という。     同社が設立された背景にあるのが、食品関連業者に生ごみの再資源化を義務づけた2001年の「食品リサイクル法」。生ごみを堆肥や飼料に再利用する場合、包装容器や箸を事前に取り除くなど、厳しい分別が業者には大きな負担。堆肥の受け入れ先には限界があり、結局、焼却処分されることも多かった。     分別が不十分でも、生ごみを再利用できる方法を探していた食品関連業界からの要望を受け、廃棄物処理業者など4社が出資して設立したのがバイオエナジー社である。2003年、都が環境に配慮した廃棄物処理・リサイクル施設の集積を目的に公募していたプロジェクトに選ばれ、城南島の用地を確保できた。     現在、首都圏の約500の事業所から廃棄食品を受け入れている。同社での処理費は1キロ当たり30〜35円。東京二十三区の事業系生ごみ処理手数料14.5円の倍以上と割高にもかかわらず、同社に処理を申し込む業者が相次ぎ、既に許容量を満たしている。受け入れの要望は断らざるを得ないのが現状だ。     今年7月から始まる再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の対象になれば、事業拡大への期待が一気に膨らむ。メタンガスによる発電の場合、経済産業省が四月に提示した価格案では、1キロワット時あたり40.95円で電力会社に買い取ってもらえる。既存施設である同社の電力が買い取り対象になるかはまだ未定である。「高値での買い取りが実現すれば、施設を増設したい」と同社社長の岸本氏。「人口の多い中核都市なら、一定量以上の廃棄食品の回収が見込める」として、全国展開も視野に、他エリアへの進出を目指している。<参考:中日新聞より>    ]]>