村田製作所や東北大が被災地で先端農業、職住分離を支援 、中小農家の業務効率を高めるためクラウド使い農地を遠隔監視

村田製作所や仙台市のIT(情報技術)企業など約10団体と東北大学は、被災地でクラウドコンピューティングを活用した先端農業に乗り出す。塩分や放射線量、土壌温度を測るセンサーを使い農地の測定情報をネット経由でどこからでも閲覧できるようにする。復興計画で多くの地域で職住分離が進むなか、遠隔地から農地を管理できる環境を整えて中小農家の業務効率を高める。
ネット上でソフトやシステムなどを利用するクラウドの仕組みを活用する。東北大大学院の農学研究科と工学研究科が企画し、村田製作所が測定に使うセンサーを開発する。情報管理用のソフト開発は仙台の若手IT技術者団体である「みやぎモバイルビジネス研究会」などが担当する。
4月から津波で浸水した宮城県沿岸の農地でまず塩分濃度の測定を開始する。事業継続に意欲のある農家などにセンサーを配り、接続したスマートフォン(高機能携帯電話)から計測値を即座にネット上に飛ばして蓄積。農地ごとの細かいデータの履歴をネット上で共有する。
来年度中をめどにセンサーを活用した露地栽培の実験も始める。積算日照や温度、湿度など圃場の情報をネット上に集め、出荷調整や肥料管理に生かす。当面は無料で提供するが、育成ノウハウを蓄積して最終的には農家の経営支援に使える簡易システムとして販売を目指す。
 
一連の実証実験を始めるため、東北大大学院農学研究科の中井裕教授を会長とする「東北スマートアグリカルチャー研究会」を月内に設立する。復興を政策や財源で後押しする宮城県や仙台市とも連携する。
農業関連企業アグリフューチャーで試験導入したセンサー機器(宮城県大崎市)

農業関連企業アグリフューチャーで試験導入したセンサー機器(宮城県大崎市)

被災地では農業を復興に向けた新産業のひとつにしようとする自治体が多い。ただ、大手企業が構想を練る植物工場などは多額の投資が必要で、中小農家が参加しづらい点が指摘されている。
小規模農家が露地栽培で使える安価なクラウドシステムを開発する」(東北大大学院工学研究科の菊池務特任教授)ことで、復興の広がりを後押しする。特に震災前に比べて自宅と農地が離れてしまった農家向けのニーズを掘り起こしたい考えだ。(参考 日本経済新聞)
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