生花卸・車部品・総菜店など首都圏農業に企業が進出/TPPへの参加もにらみ、大規模化や輸出を視野に入れる企業も登場

大消費地に近いというメリットを生かして、首都圏で農業に参入する企業が増えている。2009年の農地法改正で農地を利用しやすくなったことを契機に、大手だけでなく中小企業の進出も目立ってきた。鮮度が落ちるのが早いキャベツや白菜などの葉物や果実を中心に迅速な提供を目指す。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加もにらみ、大規模化や輸出を視野に入れる企業も登場している。


■輸出も狙う
 成田空港に近い千葉県成田市の約2ヘクタールの農場には一面にブルーベリーの若木が植えてある。生花輸入卸のワールド・アグリ(成田市)が昨年から耕作を始めた。

今夏にも地元のホテルや飲食店向けに生食用として販売を始める。市場は輸入品が中心だが「大規模化してコストを下げれば十分戦える」(趙盛民社長)。栽培地に成田を選んだのも、休耕地が多く農場拡大が可能と考えたから。将来的には栽培面積を20ヘクタールまで広げる計画だ。趙社長は「TPPに参加すれば成田空港を活用した輸出も狙える」と意気盛んだ。


農地法改正以降、1都3県で農業を始めたのは11年12月現在で51法人と改正前より28法人増えた。埼玉が26で最も多く、神奈川が14、千葉11と続く。東京は「採算に合う大規模農地が少ない」(都農林水産部)ことからゼロだが、都内に本社を置く企業が首都圏で参入するケースは多い。


障害者就労支援のECA(東京・新宿)は10年、千葉県流山市で約1.5ヘクタールの農地を借りて野菜などの生産を始めた。栽培するのは約70種類の野菜で、農場から約1時間の新宿区で販売する。野菜などは輸送コストがかさむ。小野内裕治社長は「販売拠点と農場が近いことでコストが抑えられる」と話す。「夏場の鮮度維持にも輸送距離が重要」と首都圏で生産する利点を強調する。

ECAは千葉県流山市の農場でカブやニンジンなどを生産している


大手ではイオンが農業子会社を通じて千葉と埼玉でキャベツや白菜などを生産する。「店舗が集積する首都圏への供給のしやすさなどから立地を選んだ」(同社)。セブン&アイ・ホールディングスも千葉、神奈川、埼玉に拠点を持つ。


■直売所設ける
 小売りなどと違い全くの異業種からの参入も増える。トラックなど大型車用部品を扱うヨコハマテクノス(横浜市)は11年2月、神奈川県綾瀬市でトマトやナスなどの栽培を始めた。昨年11月には農地を2.6ヘクタールと当初の4倍強に広げた。同社は「大型車部品と違って農業は景気に左右されにくい」と判断して参入を決めた。自社栽培品の直売所も設けることで地元での知名度を上げ、本業の部品販売などにもつなげたい考えだ。


消費者の安全・安心志向への対応も参入の大きな理由。百貨店などで総菜店を展開する薬糧開発(東京・港)は2月、埼玉県鳩山町での参入を決めた。3ヘクタールの農地で自社の総菜に使うトマトやレタスなど30品種の野菜を栽培し、食材の履歴を明確にする。


一方で、課題も浮き彫りになってきた。農業参入を支援する日本政策金融公庫は、参入する農地は耕作放棄地など条件が悪く、生産が軌道に乗るまでに時間がかかることが多いと指摘。農業技術が未熟なケースもあり、事業を成功させるのは簡単ではないという。(参考 2012/3/3日本経済新聞より)

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植物工場・農業ビジネス編集部

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