完全閉鎖・人工光型の植物工場を対象に認証制度を開始。細菌や放射性物質などの量・野菜の栄養価などを測定、被災地でも活用検討

「植物工場」について、来月から安全性を評価する民間の第三者認証制度が始まる。東日本大震災により、日本の食料供給基地だった被災地の農地が、津波による塩害や原発事故に伴う放射能汚染に直面し、全国の消費者は食品の安定供給と安全に関心を払う。復興の手立てとして植物工場の活用に乗り出す被災地もあり、認証制度には利点アピールの狙いがある
 
 
例えば、福島県川内村は一部が警戒区域、残りも緊急時避難準備区域に指定された。準備区域は昨年9月末に解除され、1月末には役場や学校を4月から再開する「帰村宣言」をした。村内の除染を進めているが、農地の復活は容易でなく、営農再開しても作物が売れるか分からない。
 
 
着目したのが、閉鎖空間で土を使わずに野菜を栽培する植物工場だった。放射性物質の影響を抑えられ、消費者に安全性を強調できる。村営で来年4月の操業を目指しており、失業した農家を30人程度雇う予定。同県南相馬市も導入に向けた調査に乗り出している。
 
 
植物工場研究の第一人者、村瀬治比古・大阪府立大教授は今後、被災地で定着すると予測する。「場所を選ばず安全な食料を生産でき、雇用も生まれる。被災地のニーズに合う」
 
 
認証制度は、村瀬教授の助言を受け、工場跡地などの土壌の第三者評価を行うNPO法人イー・ビーイング(大阪市)が準備を進める。太陽光を一切使用しない工場が対象で、作物と栽培に使う養液に含まれる大腸菌や重金属、放射性物質などの量を調べる。野菜の糖類、ビタミンを調査するほか、常に同じ品質で作られているかも評価する。
 
 
認証の可否は専門家でつくる委員会で決める方針。消費者は商品の包装に付いたQRコードなどで検査情報を得る。80年代後半から植物工場を手がける「エスペックミック」は「一般の野菜と差別化できるなら有効」と取得に意欲を示す。
 
 
どこかで衛生面のトラブルがあれば、植物工場全てに風評被害が広がりかねない。村瀬教授は認証制度を業界全体に広げていきたい考えで、大阪府立大が研究で提携する民間企業約120社に取得を働きかける。<参考:毎日新聞など>
 
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

植物工場・スマートアグリ展2017
次世代農業EXPO 植物工場バナー
植物工場設備販売(人工光型)_バナー

過去のピックアップ記事

  1. 国内最大規模の植物工場施設の運営とライセンス事業を開始
     株式会社フェアリーエンジェルは、福井県美浜町に日本政策投資銀行から10億円の融資を受けて、大規模な…
  2. スプレッドがアフリカ地域への植物工場システム導入の可能性を検討
     完全人工光型植物工場を運営するスプレッドは、京都府亀岡市に国内最大規模の植物工場を稼働させているが…
  3. 日清紡がイチゴ植物工場の増設へ 関東・東海エリア需要にも対応
     完全人工光型植物工場にてイチゴの量産に成功している日清紡ホールディングスでは2013年秋頃に、関東…
  4. 世界の都市開発に期待される環境志向型アグリビルディングや植物工場
     政府は6月12日、産業競争力会議を開き、成長戦略を決定した。成長戦略は金融緩和、財政出動と並ぶ安倍…
  5. グーグルが農業ビッグデータ解析ベンチャーに18億円の投資
     テクノロジーベンチャーに投資を行っているグーグル・ベンチャーは、農業ビッグデータ解析サービスを提供…
  6. 植物工場によるベビーリーフの受託生産を計画
     福井県にて大規模な完全人工光型植物工場を運営するシーシーエスは、ハウス土耕などでベビーリーフを生産…
  7. 沖縄セルラー、稼働する植物工場にて来月から試験販売へ
     沖縄セルラー電話は社内ベンチャー制度の一環で、南城市玉城の同社南城ネットワークセンターの敷地内に植…
  8. シーシーエス、全ての植物工場事業から撤退を発表
     ジャスダック上場で検査用LED照明などを手掛けるシーシーエスは、植物工場プラント事業を廃止し、子会…
  9. 人工光型植物工場によるイチゴ商品の販売へ いちごカンパニー
     完全人工光型植物工場にてイチゴを生産するいちごカンパニーは、LEDを使った植物工場で栽培したイチゴ…
  10. ノルウェーにおける野菜価格と周年生産・地産地消を実現する植物工場ビジネスの可能性
    三菱化学と現地レストランが植物工場による実証生産を開始  弊社では、冬の気候が厳しく野菜の周年生産…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. いすゞ自動車、ミドリムシの開発ベンチャーのユーグレナ社と次世代バイオディーゼルの実用化へ
    いすゞ自動車は2014年6月25日、ミドリムシ(微細藻類ユーグレナ)を用いた製品を展開するバイオベン…
  2. ローソン、かんきつ類専門の農業法人を熊本に設立。商品化したものを九州各店舗にて販売
     コンビニ大手のローソンは4月4日、熊本市に同社初のかんきつ類専門の農業生産法人「ローソンファーム熊…
  3. デアゴスティーニによる家庭用LED植物工場の第2弾。野菜・ハーブの水耕栽培キットを販売開始
     株式会社デアゴスティーニ・ジャパンは、LED光源を採用した家庭用・小型植物工場を簡単に楽しめる「L…
  4. カナダ・トロントの新プロジェクト。建築デザインに農業を融合させた「アグリテクチャー(Agri-Tecture)」
     カナダでは各都市による「グリーン・シティ」開発が進められており、例えば、バンクーバー市は2020年…
ページ上部へ戻る