太陽集熱パネルにより重油・燃料費削減を目指す。ビニールハウス内でブドウを栽培する長野県須坂市の実験的な取り組み

長野県・須坂市がブドウを栽培する市内のビニールハウスに太陽熱プラントを設置し、ハウス内を暖める熱源にする試みに取り組んでいる。市工業課によると、ハウス栽培に再生可能エネルギーを活用する試みは全国初。技術的な課題は多いが、燃料費と二酸化炭素(CO2)を削減できる「エコ農業」の実現に期待が集まる。
 
 
プラントを設置したのは、地元の岡木由行さんの農園。同市はブドウのハウス栽培発祥の地とされる。ビニールハウス内は栽培に適温とされる18〜25度に保つ必要があり、厳冬期は大量の重油を消費する。栽培経費の6〜7割を占めるという。同農園では、ハウスの上部を2重のカーテンで覆うなど、保温性を高めるため工夫を重ねてきたが「努力には限界があった」と話す。原油高が進んで負担が重くなる一方、他地域との競争から価格への転嫁も難しく、コスト低減は喫緊の課題となっていた。
 
 
この問題を解決しようと、市やメーカー、岡木さんらブドウ農家が2010年1月に「グリーン農業研究会」を発足させた。全国の「植物工場」を視察するなどして重油に代わるエネルギー源の検討を重ね、再生可能エネルギーとして太陽熱の活用を決め、昨年11月に実証実験のためプラントを設置した。プラントは市内のメーカーが家庭用の集熱機を活用して製作した。太陽光発電パネルと外観はほぼ同じ。集熱パネル内の不凍液を太陽熱で温めて蓄熱槽にため、ファンを回してハウス内へ温風を送る仕組みだ。
 
 
岡木さんは「温風には十分な温度がある」と性能面に大きな問題はないとする。昨年11月に松本市内で開かれた「全国農業担い手サミット」の際に、全国各地の農家が視察に訪れるなど注目度も高い。ただ、須坂市の試算では、引き続き使っている重油の削減量が1日当たり6.7リットルにとどまり、削減効果は数%程度。「効率を少しでも上げるのが課題」(市工業課)で、今春まで続ける予定の実験で得られたデータを踏まえ、改良へつなげる考えだ。岡木さんは「燃料使用量をある程度減らせなければ、投資コストを回収できない」とした上で「燃料をなるべく使わないハウス栽培を実現するため、技術面をどこまで向上できるかが普及の鍵になる」と話した。<参考:中日新聞より>
 
 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

大和ハウス工業 アグリキューブ 植物工場バナー
次世代農業EXPO 植物工場バナー
植物工場設備販売(人工光型)_バナー
    ミラノ万博レポート「食と農業の未来」

過去のピックアップ記事

  1. オーストラリア政府がクリーン技術に1000億円以上の支援。環境配慮型の植物工場にも注目
     オーストラリア政府は、太陽光や風力などの自然エネルギーや省エネ・CO2などの排出削減など、地球環境…
  2. 120億ドル市場の地産地消ビジネス。政府による新たな資金の貸し付けプログラムが開始
     米国農務省(USDA)では、小規模農家や近年、市場規模が拡大しつつある都市型農業に合わせた資金の貸…
  3. 植物工場による微細藻類の可能性 ミラノ万博でも展示
     日本ではユーグレナに代表とされる微細藻類の多くが開放型(ため池)での生産が一般的だが、海外では太陽…
  4. 大規模植物工場のスプレッドが生産体制を増強・フランチャイズ事業を展開へ
     国内最大規模の完全人工光型植物工場を運営するスプレッドは、産業用ロボットメーカーの安川電機と201…
  5. グーグルが農業ビッグデータ解析ベンチャーに18億円の投資
     テクノロジーベンチャーに投資を行っているグーグル・ベンチャーは、農業ビッグデータ解析サービスを提供…
  6. 三菱化学など、太陽光パネル・蓄電池を導入したコンテナ型植物工場がカタールへ
     完全人工光型植物工場を運営する(株)フェアリーエンジェルへの出資を行っているLED照明メーカーのシ…
  7. 中国山東省における近代化されたキノコ植物工場
     中国・山東省高密市に位置する恵和きのこ産業園は、青島農業大学の研究者が開発した技術を活用し、中央と…
  8. ライアソン大学による都市型・屋上ファームが1周年の収穫祭を開催
     カナダのトロントにあるライアソン大学の屋上ファームでは、1周年の収穫祭と農場ツアーが実施された。同…
  9. ハイテク自動化が加速するシンガポール農業。植物工場など多段式の新技術にも注目
    国内における葉野菜の生産量11トン以上、自給率13%を占める  シンガポールでも農業のハイテク化が…
  10. 太陽光型植物工場でも周年栽培へ 新たな四季成り品種を開発
     美味しい一季成りイチゴの周年栽培を目指し、多くの企業が完全人工光型植物工場によるイチゴの生産事業に…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. フットボール49ersスタジアムにて屋上菜園を実践。都市型農業を通じて環境保全・地域貢献へ
     フットボール・チームのサンフランシスコ・フォーティナイナーズの本拠地「リーバイス・スタジアム」では…
  2. LED植物工場、玉川大学サイテックファームが日産3200株の施設稼働
     西松建設グループと玉川大学は平成24年1月17日に産学連携協定を結び、フルLED光源を採用した完全…
  3. 住友電工、千葉大学と共同にて砂栽培・環境制御による高糖度トマトの収量増大を目指す
     住友電気工業株式会社と千葉大学は、住友電工がこれまで研究開発を進めてきた砂栽培技術と、千葉大の先端…
  4. 台北や韓国などの都市型農業拡大。ソウル市は2年間で約4倍(118ha)の緑化・農地エリア拡大
     台北市では市が中心となって都市型農業や都市エリアの緑化を進めており、市民参加型の貸農園、学校・生徒…
ページ上部へ戻る