携帯電話のキーシート関連の自社技術を生かして水耕栽培キットを開発。照光時間/養液循環時間を制御した小型モデルを提案<サンアロー>

新潟市や見附市に開発拠点を置き、携帯電話のキーシートが主力事業のサンアローは野菜の水耕栽培装置を開発した。照光時間を調節したり、肥料となる水溶液を装置内で循環させたりすることで露地栽培に比べ半分程度の期間で野菜を育てられる。企業のオフィスやホテルなどに売り込み、2013年8月期に50台の販売を目指す考えだ。
 
 
開発した装置は本棚のような形。タンクから貯蔵する水溶液を吸い上げ、ホースを通じて野菜に養分が届くよう循環させる。蛍光灯が天井に付いており、タイマーで時間を調整しながら野菜に光を当てる。家庭用電源を使い、バジル、ルッコラ、サニーレタスなどを育てられる。同社の実験ではサニーレタスは露地栽培の半分の30〜40日間程度で種まきから収穫可能な大きさに育ったという。幅1.6メートル、高さ2.1メートル、奥行き1メートルの試作機では1度に250個を栽培できる。
 
 
装置の大きさは顧客の要望によって作り替えるが、価格は1台あたり60万〜70万円前後に設定する。現在、佐渡市の企業に試験販売しており、年明けから本格的に売り出す。同社は携帯電話のキーシート大手。ただ、近年ではタッチパネル式のスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の市場拡大に押され、受注が減少している。キーシートの売上高は3年ほど前に比べて3割減と苦戦を強いられている
 
 
新潟市の開発拠点ではキーシートの製造装置や検査装置を自社開発している。装置の駆動をコントロールする回路設計技術など、これまで培った技術を生かして、野菜栽培装置の照光時間や水溶液の循環時間を制御できるようにした。既存技術の新規事業への応用を急いでいる。野菜の水耕栽培装置については、今後、太陽光発電装置や風力発電装置と組み合わせて電力を供給できるように改良していく見通し。企業やホテルだけでなく、家庭用でも使える装置の開発にも着手するなどして、顧客獲得を目指す。<参考:日経速報ニュースより>